江戸初期の難破船「サンフランシスコ号」捜索開始 最新の無人小型船駆使 千葉沖で下田の企業
江戸初期に千葉県御宿町沖で遭難したスペインのガレオン船「サンフランシスコ号」の捜索を、下田市の海洋調査会社が先月初旬から開始したことが6日までに分かった。海洋データの収集・分析を地域活性化などに生かす「海洋デジタルトランスフォーメーション」の分野でも注目される取り組みで、最新の調査機器を駆使する。 調査に投入するのは、自動操舵(そうだ)で水深50センチの浅瀬でも海底超音波計測ができる米国製無人小型船(USV)など。数年前までは軍事用に限られたが、近年の技術革新で民間利用が可能になった。 記録によると、1609年9月、前フィリピン諸島総督ドン・ロドリゴに率いられたサンフランシスコ号は御宿沖の岩礁に乗り上げ船体が大破。373人の乗員のうち、317人が岸に泳ぎ着くなどして無事だった。比較的岸に近い場所に船の遺留物がある可能性を想定している。 捜索を行うのは、ウインディーネットワーク(杉本憲一社長)。2017年にも東海大と協力し、石製の砲弾のようなものを発見した。今回は同社単独かつ大規模な調査で、従来の海中捜索のみならずドローンを飛ばして地形を測量、文献の記録と突き合わせるなど多角的な調査を行う。 <メモ>サンフランシスコ号は静岡と浅からぬ縁がある船だ。徳川家康は伊東で日本初の洋式帆船を造らせ、生還した乗員を帰国させた。スペイン国王は日本側に洋時計を贈り、礼をした。この時計は久能山東照宮(静岡市駿河区)に収蔵されている。エピソードは絵本にもなり「シーマンシップ」の見本として焼津水産高演劇部が紙芝居劇として演じるなどして語り継がれている。
静岡新聞社