窮屈な社会に立ち向かう勇姿にエール 2025年春夏ロンドンダイジェスト
同ブランドは今季、1920年代に生きたゲイカップルのストーリーに着想を得ました。カラーピンがきらりと光るシャツとピンストライプのダブルブレストセットアップ、細かい花のモチーフを刺しゅうしたロングコート、タキシードジャケットにクリスタルをつなげたスカートの合わせ。どれもマスキュリンな佇まいだけど、フェミニンでもある。装いは変われど自分の芯は変わらない――そんな強い人間像を受け取りました。
流動的なジェンダー観は、今のロンドンファションシーンの特徴の一つなのでしょう。ジェンダーレスやジェンダーニュートラルといった言葉は、よくトレンドワードに上がります。ですが、その感覚が実際に社会に浸透するにはまだまだ時間がかかると思います。ロンドンブランドは、窮屈な社会規範にファッションという美しい武器で立ち向かい、みんながより自由に生きられるような勇姿を見せてくれた気がします。