窮屈な社会に立ち向かう勇姿にエール 2025年春夏ロンドンダイジェスト
ふくよかであることを良しとしない社会では、体の肉は隠して当然のものという感覚が刷り込まれてしまいます。でも「カロライン・ヴィット」の服は、大胆にカットアウトした生地を、ひもやワイヤーで官能的につなぎ、体の膨らみを見事にファッションに落とし込んでしまうんです。おおぶりでなめらかな曲線を描くシルバーのアクセサリーもかわいい。届けたい人がしっかりと見えているブランドは強いなと思います。
老若男女が着る「シモーン ロシャ」が楽しい
日本でもファンが多い「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」の会場には、独特の世界観のファンが集いました。下記のスナップ記事から老若男女が着こなす「シモーン ロシャ」をお楽しみください。
今回の会場は刑事裁判所で、入場する際に空港のような荷物検査があり、ちょっとドキドキしました。ショーのスタートは、モデルのソフィア・スタインバーグ(Sofia Steinberg)が、ロングのチェスターコートを体に巻きつけるようにして登場。コレクションには、キーモチーフのカーネーションを至る所に散りばめました。個人的にはメンズモデルのルックがお気に入り。ダスティーピンクのシフォン素材で作ったアノラックや、襟元にビジューをあしらったデニムのセットアップもかわいい。
会場になぜ刑事裁判所を選んだのかは聞けていませんが、従来の男性像を飛び越えたクリエイションを生み出すシモーンがあえて「ジャッジする場」を舞台に選んだのは、「シモーン ロシャ」流の正義を主張しながら、従来のマスキュリンスタイルに意義を唱える挑戦状だったのかもしれません。
今のロンドンを象徴する流動的なジェンダー感
「シモーン ロシャ」を筆頭にロンドンでは、腰回りを膨らませたフリルスカートやビンテージレース、リボンやビジューを使ったヴィクトリアン調の提案が目立ちます。そんなボリューミーで甘いルックは、なんとなくちょっとお腹いっぱいかも……と思っていた矢先、「アーデム(ERDEM)」がかっこいいエンパワリングなコレクションを見せてくれました。