40歳長谷部誠、今季限りで引退 主将でW杯3度、指導者ライセンス「S級まで取りたい」
【フランクフルト(ドイツ)17日=円賀貴子通信員】サッカー元日本代表でドイツ1部リーグ、フランクフルトのMF長谷部誠(40)がクラブハウスで記者会見し、今季限りでの現役引退を発表した。日本代表では長く主将を務め、W杯には2010年南アフリカ大会から3大会連続で出場。ドイツ1部でも通算383試合に出場してアジア選手単独最多出場記録を持つレジェンドが、ついにユニホームを脱ぐ。 【写真】長友佑都、長谷部は「次元が違いますよ。化け物です」 22年間の選手生活にピリオドを打つ。MF長谷部は、約10年間を過ごしたフランクフルトの着慣れたジャージー姿で会見場に現れた。 「シーズン終了後に現役を引退します。いつかはこの時が来ると思っていた。今が正しいタイミングだと思っている」 すがすがしい笑顔を浮かべた。静岡で生まれ、J1浦和から海を渡って17年目。およそ30分間、流ちょうなドイツ語で語り尽くし、地元記者の質問にも熱心に答えた。 豊富な運動量が武器だった長谷部も、1月で40歳。体力の回復に時間がかかるようになった。今季は徐々に出番を減らし、リーグ戦の出場は7試合。最終的に決断したのはここ5、6週間というが、「5、6年くらい(引退が)意識にあった」と明かした。 2022年2月に、引退後も見据えて5年間の契約延長。すでにドイツのB級指導者ライセンスを取得済みだ。「次のステップにいきたくなった。ライセンスの勉強は楽しいのでS級まで取りたい」。今後はクラブに残り、育成部門の業務に従事する方向だ。 日本代表では岡田武史監督(当時)に26歳で主将に抜擢された。10年W杯南アフリカ大会の直前だったが、人望を集め、3大会連続でキャプテンを務めた。主将として81試合出場は歴代最多。MF遠藤保仁と不動のダブルボランチで時代を築き、南アフリカと18年ロシア大会では16強入りに貢献した。 ドイツ1部では通算383試合に出場し、欧州の5大リーグでは日本人最多。地元ファンにも愛され、クラブの公式SNSは「生ける伝説」と伝えた。私生活では16年にモデルの佐藤ありさと結婚。1男1女に恵まれた。11年の著書『心を整える。』(幻冬舎)はスポーツ選手初のミリオンセラーに。印税はすべて東日本大震災の被災地へ寄付した。 今季のリーグ戦は残り5試合。欧州カンファレンスリーグ出場権を得る6位につける。「あと5週間で大きな目標を達成して、(最終戦の)ライプチヒ戦で祝いたい」。後輩たちに置き土産を残して、レジェンドがスパイクを置く。