会食恐怖症が人生で一番つらかったと語る「食べなくてもいいカフェ」発起人・山口健太「同じ悩みを持つ人に初めて会えました」の声に
■親が期待値とハードルを下げる ── 偏食や食が細い子どもに、親としてどんな声をかけたらいいのでしょうか。 山口さん:どんな場合も、ムリに食べさせるのはよくないです。中学生くらいまでの子どもが好き嫌いをする理由に、口腔機能が未発達でうまく処理できないということがあります。口に入れることはできても、いつまでも飲みこめなくて口の中に残ってしまったら余計に嫌いになってしまう。ムリに飲みこめば、窒息の危険もあります。飲みこめないときは「出していいよ」と言ってあげるといいですね。
── 苦手な食材は、小さく刻んでこっそり好物に入れるのはどうでしょうか。 山口さん:黙って入れるのはよくないですね。食べる前は「おいしそうなハンバーグ」と思ったのに、食べてみたら嫌いなにんじんが入っていた。これではマイナスのギャップになってしまいます。好きだったハンバーグを嫌いになってしまったり、作り手への信頼が失われたりする恐れもあります。それより、「にんじんを入れたけど、おいしく食べられるように工夫してみたよ」という声をかければ、「期待値は低かったけれど、意外とおいしい」というプラスのギャップになります。一度食べられれば、次は自分から「食べてみようかな」と思えるかもしれません。
大事なのは、「ムリに食べさせられる」のではなく、「自分で食べられる」という自信をつけてあげることなので。 ── 子どもが食べないと、ついイライラしてしまいます。 山口さん:「ガッカリの公式」と呼んでいるんですが、「親が食べてくれるだろうという期待-子どもが食べる量=ガッカリ」なんです。期待値が高いとガッカリしたりイライラしたりするので、期待しないことがいちばんです。 栄養がたりているかが心配になる場合は、数値で判断します。成長曲線を見て、身長に対して体重が極端に少なくないかどうか。あとは、毎日の様子を見て、元気に過ごしていれば心配する必要はないと思います。むしろ、「親がイライラすることで子どもが食べなくなる」と思ったほうがいいですね。保護者向けの講座では、「自分自身が楽しめる時間を作ってください」とお話ししています。自分にとって充実した時間が少ないほど、自分がしたことへの成果がないとイライラしてしまいます。実際に、「好きなことをするようになって、子どもが多少食べなくても気にならなくなりました」という声をよくいただきます。