会食恐怖症が人生で一番つらかったと語る「食べなくてもいいカフェ」発起人・山口健太「同じ悩みを持つ人に初めて会えました」の声に
2020年からは「食べなくてもいいカフェ」を始めました。東京で始めて、今では全国に広まっています。だいたい月1回くらいのペースで開催しています。 飲みものやお菓子は置いてありますが、食べなくていい。会食恐怖症の当事者同士が直接、会って交流できる場になっています。「初めて人に話せました」とか「同じ悩みを持つ人に初めて会えました」という声をいただくことが多いですね。 ── 学校の先生などに向けて、給食指導の支援もされています。
山口さん:会食恐怖症の発症時期は思春期が多いといわれていますが、なかには保育園や小学生時代のこともあります。思春期に発症した人でも、給食のエピソードを話してくれる人は多いです。ただ、学校の先生たちも普段の業務で手いっぱいで、会食恐怖症の情報を入手できていません。給食指導に関する研修があるわけではなく、先生たちも自分の経験をもとに指導するしかないんです。なので、「月刊給食指導研修資料(きゅうけん)」を発行したり、保育園やインターナショナルスクール、小学校の先生向けの研修会などを行っています。
──「残さずに食べなければいけない」という指導は避けるべきなのでしょうか。 山口さん:そうですね。ただ、「完食を目指すこと=悪」というわけではないです。完食を目指すことは、食を広げることでもあります。よくないのは、そのために「ムリに食べさせる」ことだと思っています。食べられない、食べない理由は子どもによってさまざまです。「この子はこういう理由で食べられない、それならこういうプランを立ててやってみよう」と、同じ目標に向かっていても、やり方はいろいろあります。その子に合ったやり方を見つけてあげるのがいいんだよ、ということを伝えています。
── 親から、学校に「ムリに食べさせないでほしい」と伝えてもいいですか。 山口さん:いいと思います。文部省のガイドラインも「食べられない子への配慮をしましょう」と変化しています。そのぶん、現場の先生が「この子にはどの程度、食べさせたほうがいいのだろう」と迷う場合が増えています。親の意向は、「こういう理由で食べられません」「こうしてもらえると比較的食べられます」などと、わかりやすく書面にまとめて先生に渡すのがおすすめです。