教育の情報化の現状と課題
2024年6月6日~8日、東京・有明で教育関係者向けの総合展示会「New Education Expo 2024 in 東京」が開催された。7日の基調講演では、東京学芸大学 教職大学院 教授の堀田龍也氏が登壇。「教育の情報化の現状と課題」と題したテーマで、教育現場が直面している問題と、その解決に向けた具体的な提言を数多く紹介した。 【図版】発表資料を見る 堀田氏はまず、教員の年齢別構成の問題について触れた。公立学校の年齢別の構成比率を見ると、50歳以上と30代が多く、その間の40代は少ない。これは「今一番多い層がどんどん退職し、ベテランのノウハウが次々と失われていく。だが、同時に変革のチャンスでもある」と堀田氏。人数の少ない中堅の教員が校務の中核を担いながら30代の若い人を育てていく状況にあり、ジェネレーションギャップも存在する。「若手がやってみたいことを尊重し、教員にも個別最適な指導が必要だ」と堀田氏は語る。 日本は人口そのものが減っており、将来は日本にいろいろな国から移民を受け入れることになると堀田氏はみる。移民先進国である英国の教員に聞いた話として、26カ国の言語が飛び交い、英語が分からない生徒が増えているエピソードを紹介。「そのときに公立学校がどう大変になるか、減った教員のマンパワーだけでどう回していくのか、これは制度と運用の両方の課題である」とした。 これからの児童・生徒に必要になる力として、堀田氏は文科省の学習指導要綱の例を挙げた。ここでは「学力」という表現は極力避けられており、資質や能力という考え方にシフトしている。図の中で一番上に置かれているのは「学びに向かう力」だ。学ぶ意欲や学び続ける気持ちを持つ力、うまくいかなくても怠けないメンタリティなどを指すという。「YouTubeをはじめとした学ぶためのソースが増えたため、学校卒業後も学び直しが昔より比較的やりやすくなっている」と堀田氏。学校の管理職はこうした変化に対してビジョンを持ち、積極的に取り組むべきだという考えを示した。