教育の情報化の現状と課題
今後の教育の情報化のトレンド
後半は教育の情報化のトレンドと題して、各自治体や学校で取り組むべき最新のトピックを紹介した。堀田氏が注目の筆頭としたのが「リーディングDXスクール」だ。文部科学省がスタートして2年目の事業で、2024年度(令和6年度)は256校が指定校として活動している。各校の活動をモデルとして、全国の学校に広めようという取り組みだ。 併せて、「学校DX戦略アドバイザー」の活用についても推奨した。学校DX戦略アドバイザーは、各自治体の教育委員会や教育の現場が抱えるネットワークや端末の悩みを支援する人材だ。アドバイザーの派遣に必要な旅費などは文科省が支払うので依頼しやすい。しかし、制度自体を知らない、話をできる人がいないなどの理由で踏み出せてない自治体がまだあるという。 学校のネットワークの帯域不足の解決についても話題が及んだ。推奨ネットワークを満たす学校の割合が2割強しかなく、環境整備のための国費の支援もあるが、十分に活用されていないという。理由はいくつかあるが、学校側の不具合の特定が不十分だったり、そもそもICT活用ができていないため、帯域不足を実感できていなかったりする場合もある。今後デジタル教材が増えてきて、帯域不足が顕在化してからでは遅い。調査をすれば不具合や対策が見つかって改善する例も多いという。 このほかのトピックとして、学習用パソコンのアクセスログの解析などが挙げられた。児童・生徒の端末を使うと、どんなWebサイトを閲覧したのか、何を見ようとしたのかといった履歴(ログ)が残る。学習動画を中心に学ぶ児童とデジタルドリルを中心に学ぶ児童など、それぞれの特徴を把握できるという。細かな解析は手間がかかるので、ダッシュボード化するなど工夫が必要だ。
文:岡地 伸晃=日経パソコン