【大学野球】大学ジャパンが優勝会見 強さに加え、人格が備わった最強チーム
試合をつくった投手
台湾との準決勝で1安打完封したのは、高木快大(中京大3年・栄徳高)である。中京大と同じ愛知大学リーグで覇権を争う間柄である、愛知工大の159キロ右腕・中村優斗(愛知工大4年・諫早農高)について触れた。 「同じリーグの先輩ということで、何度も対戦させていただいている。すごいピッチャーであることが分かっている中で、自分が準決勝で負けてしまったら、中村さんが3位決定戦の先発になる。中村さんに、3位決定戦で投げさせるわけにはいかない。そこが自分の中で強くあって、体現することができました。チームの勝利につなげられて、決勝で中村さんが先発できたので良かったです」 アメリカとの決勝。相手チームを見た高木は、特別な感情が芽生えていた。 「予選リーグで戦ったときのアメリカと、決勝で対戦したアメリカは違うようなチームに感じました。試合前の雰囲気とゲーム中、プレーボールとなってからの雰囲気。『やる!!』と決めたときの選手の気持ちの切り替えが、印象に残っています」 頂点をかけたアメリカとの決勝で先発した中村は5回4失点とゲームを作った。味方が6回に逆転。プラハベースボールウィークでは救援で2試合に登板し、台湾との決勝では胴上げ投手。ハーレムベースボールウィークも、スペインとの予選リーグでは最後を締めた。堀井監督は決勝の先発は背番号18を着ける「日本のエース」と決め込んでいたという。 「最後の決勝の先発を任され『自分が投げるしかない!!』という強い気持ちで臨みました。打たれはしましたが、打線が逆転してくれて、ここまで頑張ってきて良かったな、と思いました。2つの国際大会で良い経験をさせていただいたので、秋のリーグ戦、これからの野球人生につなげていきたいです」
最後に24人を束ねた主将・印出太一(早大4年・中京大中京高)である。本塁を死守する捕手であり、司令塔の貢献度は絶大だった。 「堀井監督に任せていただいて、野球人として成長するきっかけ、新しい引き出し、材料をいただいた。野球の部分でも、海外の投手のレベルの高さであったり、いろいろなものを吸収することができました。この経験は自分だけのものではなく、自チームに落とし込むことはもちろんですが、野球界の発展につながるアクションを起こしていきたいです」 代表メンバーの全24選手が自立しており、大人のチームだった。堀井監督以下、安江均コーチ(名城大監督)、森本吉謙コーチ(仙台大監督)、鳥山泰孝コーチ(国学院大監督)のベンチワークも、2大会における優勝の一因である。侍ジャパン大学代表は強さに加え、人格が備わった最強チームだった。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール