妊娠27週で生まれた927gと466gの双子の女の子。「皮膚が真っ赤で、鳥のヒナみたいに小さかった」【小さく生まれた赤ちゃん・体験談】
927gの長女と、466gの二女
入院から数日後、妊娠27週のときに、帝王切開で双子の女の子たちが生まれました。 「おなかから取り出された長女の姿は見えませんでしたが、小さな産声(うぶごえ)が聞こえました。『天使みたいな声がする』と思ったのを覚えています。小さいほうの二女は、手術台の私の真横にある体重計に乗せられた姿を見ることができましたが、『うわ、ちっちゃい…』とその小ささに驚きました。推定体重600gくらいだろうと言われていましたが、実際は466gでした。長女はあとから927gだと聞きました」(さとみさん) 生まれてすぐに呼吸器をつけられた双子たちは、さとみさんが出産した病院から、NICU(新生児集中治療室)のある病院に緊急搬送されました。 「病床数の問題で二女の愛彩は静岡県立こども病院に、長女の優衣は自宅から車で1時間半ほどの場所にある浜松医療センターに入院することになりました。2人は一緒に救急車に乗って搬送されました。 手術室の外で待機していてくれていた夫は、私の手術が無事終わったあと救急車の後ろを追って、まずは静岡県立こども病院で愛彩の入院手続き。そのあとすぐに浜松医療センターへ行き、優衣の入院手続きをしてくれました。医師からは『予断を許さない状況です。いつでも連絡が取れるようにしてください』と言われたそうです。夫にとっても大変な1日だったと思います」(さとみさん)
「なんでもするから命を助けて」と神様に願った
ほかの産後のママたちと同じ大部屋に入院していたさとみさんは、そばに赤ちゃんがいない寂しさを感じていました。 「出産した日の夜、同じ部屋のママたちが新生児室に授乳に出かけ、戻ってきて楽しそうに授乳の感想を話し合っていました。カーテン越しにその声を聞きながら、『自分は赤ちゃんがいないから呼ばれないんだ』とわかったときには、とても悲しい気持ちになりました。 私のところには助産師さんが来ておっぱいマッサージをしてくれ、赤ちゃんに届けるための初乳を搾乳してくれたんですが、それがものすごく痛いんです。今は、小さく生まれた赤ちゃんにとって壊死性(えしせい)腸炎などの合併症を防ぐために初乳がとても大切だとわかりますが、当時はそんなことも知らず、ただただつらかったです。たった何滴かだけ出た初乳を母乳パックに入れて冷凍し、私の母が娘たちの病院へ届けてくれました。 それからも、数時間おきの搾乳は、娘たちがNICUを退院するまで続けました。私が娘たちのためにできることはこれしかないと思っていたから、胸に青あざを作りながら、一生懸命搾乳を頑張っていました」(さとみさん) 入院中のさとみさんにかわって、正樹さんが赤ちゃんたちの面会に行きました。正樹さんは、新生児室の看護師さんたちが作った赤ちゃんの写真つきメッセージカードを持ってきてくれましたが、さとみさんはそこに写るわが子の姿に衝撃を受けました。 「夫が保育器にいる娘たちを写真に撮ってきてくれたんですけど…赤ちゃんらしい姿とはまったく違う様子で、かわいいとは思えなかったんです。とくに二女の愛彩は生まれたときからさらに体重が減って350gくらいになっていました。写真に写っていたのは皮膚が真っ赤で、鳥のヒナみたいに小さい小さい赤ちゃんです。胸が締めつけられるようなせつなさを感じました。でも同時に、この命は確かに生きているんだ、と思いました。 『どうか命を助けてください』と手を合わせて、毎日いろんな神様にお願いしました」(さとみさん)
【関連記事】
- ▶つづき【後編】小さく生まれた双子の女の子。「ごめんね」と謝る私に「ママに会いたかったよ」と…娘の言葉に涙があふれた【体験談】
- ▶妊娠25週で714gと760gの双子を出産。「最低限の骨と皮しかない、お人形のようだった」【体験談】
- ▶「どうしてママと同じ手じゃないの?」いつか聞かれると思っていた質問。そのとき母が伝えた言葉とは【先天性絞扼輪症候群(せんてんせいこうやくりんしょうこうぐん)体験談】
- ▶「あれ?指が…」生まれてすぐに判明した障がいに頭が真っ白に…【先天性絞扼輪症候群(せんてんせいこうやくりんしょうこうぐん)体験談】
- ▶シングルファザーの男性と結婚し、いきなり2児の母に。弟を出産したときに長男からもらった手紙に感動【人気ブロガー・ネコおやじ】