自民総裁に石破氏、「新しい資本主義」加速へ-岸田路線を継承
5回目の挑戦
5回目の挑戦で、総裁選では「38年の政治家生活の集大成と位置付け、最後の戦いとして全身全霊で挑む」と語っていた。当選を受けたあいさつで、「国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語る、日本国をもう一度、皆が笑顔で暮らせる、安全安心な国にするため、全身全霊を尽くす」と述べた。
2012年の総裁選では1回目の投票でトップに立ったが、決選投票で安倍元首相に逆転された。第2次安倍政権では当初、党幹事長、地方創生担当相として首相を支えたが、後半は距離を置いた。18年には連続3期目を目指した安倍氏と一騎打ちに挑み、敗れた。菅義偉、岸田両政権でも要職に就くことはなく、党内では非主流派に位置付けられていた。
総裁選は「選挙の顔」を選ぶ意味合いを持つ。「次の首相」として世論調査で上位につけていた石破氏の勝利は、次期衆院選や来年の参院選をにらみ、旧安倍派などの裏金事件で傷付いた党のイメージ回復を期待した国会議員らの危機感の表れといえる。石破氏は記者会見で、解散の時期について問われ、野党との国会での論戦を経た上で「なるべく早く」国民の審判を受ける必要があると語った。
党役員や閣僚人事については「白紙」としたが、高市氏や小泉進次郎元環境相ら総裁選で争った8人の処遇については「最もふさわしい役職」につける考えも示した。
安保政策に詳しい「国防族」
石破氏は67歳。1986年の衆院選で初当選し、現在12期目。安全保障政策に詳しい「国防族」として知られ、総裁選では日米地位協定の見直しや北大西洋条約機構(NATO)のアジア版といえる集団安全保障の枠組み作りも提唱した。
米政府が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を安全保障審査の対象としていることについては「一体何が安全保障の懸念なのか、それを申し述べよということは、われわれは言わねばならない」とフジテレビの番組で語っていた。
総裁選には石破、高市、小泉の3氏に加え、小林鷹之前経済安全保障担当相、林芳正官房長官、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、茂木敏充幹事長の9人が立候補した。政治改革や解雇規制見直し、選択的夫婦別姓導入の是非などを争点に論戦を繰り広げた。