入場収入約23億円が消えてしまう…9年連続黒字達成の”ビッグクラブ”浦和レッズでさえ経営危機感
緊急事態宣言が発令された後も日本国内で猛威を振るい続ける新型コロナウイルスが、公式戦の長期中断を余儀なくされているJリーグのクラブ経営にも深刻な影を落とし始めた。 複数のJクラブの2019年度決算が24日に発表されたなかで、群を抜く観客動員力を誇る浦和レッズもテレビ電話方式で定時株主総会を開催。終了後にビデオ通話アプリ『Zoom』を介したメディアブリーフィングに臨んだ立花洋一代表取締役社長が、終息の兆しが見えない新型コロナウイルス禍に見舞われている2020年度の経営について、極めて厳しい予測を立てていると明らかにした。 「経営に関して大きな影響があることは避けられないと予想していますが、そのなかで一丸となって浦和レッズの存在意義をあらためて確認して、存続へ向けて全力を尽くしていきたい」 定時株主総会で承認された2019年度の事業収支では、広告料収入、入場料収入、グッズ収入、そしてJリーグからの分配金の4つの柱からなる営業収入が、クラブ史上で初めて80億円の大台を突破。2018年度から約6億6900万円増の82億1766万円を計上している。 一方で支出の合計となる営業費用は、選手や監督以下のコーチングスタッフへの報酬の合計額(約32億2800万円)を含めて、前年度比で約5億4200万円増の80億8172万円を計上。営業利益が1億3594万円、当期純利益が6198万円となり、9年連続の黒字を達成した。 しかし、予断を許さない状況がこれからも続くと見られている今年度は、立花社長をして「年度計画に関しては、それを見直すことになっている」と言わしめる非常事態の真っ只中にいる。例えばJリーグから情報が開示されている2005年度以降で一度もJ1のトップを譲っていない入場料収入は、約23億円が計上された2019年度から大幅な減収となることが必至となっている。立花社長が続ける。 「当初は昨年度の実績である23億円を上回るぐらいの計画を立てていましたが、それがある意味でなくなってしまう、という状態につながってしまうのではないか、と理解しています」