「結婚の話はなかったことにしてほしい」…”実家が団地住まい”の女性が、相手両親に「結婚を反対された」許しがたい理由
「この話は無かったことにして欲しい」
当日――秀美さんは、最寄りの駅まで彼と彼の両親を車で迎えに行った。 同じ栃木県内とはいえ、彼の両親にとって秀美さんの実家は初めて訪れる場所である。見慣れぬ景色の話題で車内は「和気あいあいと盛り上がっていた」というが、秀美さんの実家に到着した途端、一瞬にしてふたりの顔色が変わったという。 「私が『ここです』と言うと、彼の母親が『えっ…団地(*集合住宅のこと)なの?』と言いました。彼の父親も渋い表情を浮かべ『ここのどこかの部屋が実家っていうこと?』と聞かれました」 質問の意図がわからないまま、秀美さんが「はい、4階のあの部屋がそうです」と言って実家の窓を指さすと、彼の母親は突然「ごめんなさい、気分が悪くなっちゃって」とうつむいた。 彼の父親も「そうだな。申し訳ないけど出直させてもらおう」と言い出したため、結局秀美さんの家族とは顔を合わせないまま、駅にUターンすることになったという。 「私も彼もキツネにつままれたような感じでした。その夜は日課になっていた『おやすみなさい』のLINEが彼から来なくて『どうしたんだろう?』って」
衝撃的だったという彼からのメッセージ
モヤモヤした思いを抱えたまま夜を過ごした秀美さんのスマホに彼からのLINEが届いたのは、翌日のお昼頃だったという。 〈結婚の話はなかったことにしてほしい〉 そんな文面で始まる彼からのLINEには、両親から結婚に反対されたことや、その理由が記されていたという。 「一言でいうと、私の実家が団地なのが理由でした。向こうのご両親は『結婚しようという年齢の娘がいるのに、家の一軒も建てられないような甲斐性のない人間と親戚になりたくない』と言ったそうです。さらに『将来、お金の無心でもされたら困るから』とも書いてありました。 あまりにくだらない内容で、私は一気に気持ちが冷めて、彼の両親も、平気でこういうLINEを送って来る彼にも愛想がつきました。一言『了解です』とだけ返信しました」 …実は、秀美さんの一族は代々の土地持ちで、日常的な住まいとは別に、一軒家と県道に隣接する土地などを所有している。土地を貸し出すなど、資産運用をして受け継いだ土地を守りながら不労所得で生計をたてつつ、こまめに一軒家に通って農業も営んでいる。 「彼らが『団地』と言ったのは古い集合住宅のことです。もともとここには私が小学校に越境入学した関係で住み始めたのですが、人情味あふれる、心温かいご近所さんが多く、そんな環境と人間関係が気に入って引っ越ししないまま長年、拠点にして暮らしているだけなんです。 挨拶に来てくれたらそこらへんの経緯も話すつもりでしたが、残念です。でも、籍を入れる前に相手家族が、他人を収入や住まいで見下すような人たちだったと気づけたので良かったですが…」 相手男性も家族も、「婚期を逃しそうで焦っていた」というが、結婚に際しての偏見が結婚に影響している可能性もあるかもしれない。 CASE2「嫁ぎ先の両親が、自分の親を小馬鹿にし始めた」 大塚清香さん(仮名・27歳・会社員) 清香さんのケースは、「借金」への偏見である。 「彼(29歳)は会社の同期です。入社当時から意気投合し、すぐに交際に発展しました。2年ほど交際したところで結婚を意識しはじめ、お互いの実家にも行き来する関係になりました。そして彼から正式にプロポーズされたので、あらためてお互いの親に挨拶に行こうという話になったのです」 交際2年、お互いの親との交流も深めて2年、計4年間の交際期間の中で彼の人となりは十分わかっていた。社会人としてお互いが自立している。結婚生活の地固めは完璧で、ふたりの結婚に「反対する理由」はないように思われた。 「実際、彼のご両親に挨拶すると、『清香さんなら大歓迎。これからもよろしくね』とすぐに結婚を認めてくれました」 ところが挨拶も終わり、お祝いの食事に出かけたところで「手のひら返しされた」という。清香さんは「縁起でもない相手」にされてしまったのだ。 はたして清香さんの身に起きた災難とは――。 後編記事「子どもが奨学金を借りることは「親として恥ずかしい」?…結婚を決めた相手の両親に、自身の親をけなされた女性が「破談を決意した理由」」では、その詳細についてリポートします。
清水 芽々(ノンフィクションライター)
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