エースPGの離脱をものともせず快進撃を続ける広島ドラゴンフライズ、中村拓人がチームにもたらすポジティブなエナジー
状況を受け入れ、役割を遂行しようという意志がチームの雰囲気を変えた
今シーズンのここまでを「個人としてもチームとしても、だんだん良い方向に向かっていっていると思います」と振り返る中村は、寺嶋が離脱したときの心境について「良さんを心配しつつ、『自分がやらないといけないな』っていう気持ちも強くなりました」と言った。 朝山が好調の要因として中村の名前を挙げたことを伝え、どんなことを心がけたかと尋ねると、こう答えた。「自覚はもちろん一層高まりましたけど、特に大きく何かを変えたということはないです。ただ、僕の気持ちの変化がチームが良い方向に向かうのに役立っているのであれば、そこはすごく良いことだと思います」 中村は学生時代からあまり弁が立つタイプではない。ゲーム2後の囲み取材でも、通りすぎるチームメート(ミリングヘッドコーチを含む)ほぼ全員から受け答えを茶化され、プロ2年目になっても取材は慣れないと苦笑した。というわけで、中村の貢献をより『見える化』するために再び朝山の証言を紹介しよう。 「寺嶋が怪我した直後は、正直少し嫌な雰囲気がチームに出ました。ただ、彼ら(中村や船生)はそこからしっかりと自分たちの状況を受け入れて、役割をしっかりと遂行していこうという気持ちを持っていた。それが普段の練習から表れていたから、他のメンバーが反応して、チームとして良いケミストリーが生まれてるんだと思います」 第30節の結果をもって、広島はワイルドカード順位で3位に浮上した。10日には得失点差で2位を譲った島根スサノオマジックとの直接対決も待ち受けている。1月17日の前回対戦は66-75で敗北。しかし中村にはこのときとは異なる自信と経験がある。 「CSに出るために大事なゲームが続く中で連勝を重ねて、チームとしても自分としても自信や手応えを感じています。これからも自信を持ってプレーしつつ、今日の試合であればクロージングのところがまだまだなので、そういったところをしっかり修正できればなと思います。島根さんには前回負けてしまっているので、勝てるようにしっかり準備していきたいです」
青木美帆