「すべてのステークホルダーがインターネット空間を健全な場にする責任を担っている」:自民党衆議院議員 デジタル社会推進本部事務総長 小林史明 氏
──SNSの広告審査プロセスはブラックボックス。政府の働きかけで何が変わるのか?
提言にあたり、世界的なSNS事業者とコミュニケーションを取ってきた。Meta(メタ)のサービスに詐欺広告が目立っていたがこのワーキンググループの働きかけにより大きく減少した。日本で事業展開をしているほかのSNS各社に話を聞くと、広告審査については日本の文化や習慣を理解する担当者を一定数配置して対応しているケースもあった。日本の文化や消費者動向を踏まえたうえで、きめ細かく広告の事前審査を行えば詐欺広告被害を事前に防ぐことができるということだ。 犯罪とつながる傾向にあるのは、クローズドチャットに誘引する広告だ。掲載前の審査で広告のリンク先をしっかりと確認して、リンク先がクローズドチャットであった場合は広告掲載不可にする対応をしているSNS事業者もある。こうしたことから、犯罪を事業者側で防ぐことは十分にできる。政府からの働きかけや対応の要請も必要だと考えている。
──実際に新たな規制による取り締まりは考えられるのか?
民間同士の広告取引に関する法に、2021年から施行されている経産省所管の「特定デジタルプラットフォームの透明性および公正性の向上に関する法律」がある。これはデジタルプラットフォームの透明性、公正性の向上を図ろうというものだ。 しかしながら、広告審査に関する規制は明記されていない。先にあげたメタの例で言えば、広告審査体制のなかに、日本の文化や風土を理解できる人、あるいはそれを最適化できるような人員が配置されておらず、日本の有名人を使った詐欺広告が跋扈(ばっこ)していると考えられる。 このような状況から見て、広告審査に対する規制は大きな抑止力に繋がるだろう。また、広告審査の基準やプロセスは広告主や利用者に対し、公開されているべきだ。ポリシーに賛同したうえでサービスを使うのが本来あるべき姿だろう。透明性を高めることで、ユーザーがそのサービスを使うかどうかを選択できる。そこに嘘があれば法律上の罰則がある、という構造が望まれる。
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