所有するならどれ? 歴代Eクラスを振り返る 「大衆」からも支持されるメルセデス・ベンツの高級車
「発展」の最先端を征く 世界に欠かせない1台
Eクラスの歴史は、メルセデス・ベンツにとって決して成功の連続ではなく、挑戦と失敗の繰り返しでもある。考えてみれば、Eクラスという存在そのものがすでに挑戦的なモデルと言えるだろう。 コンパクト・クラス、ミディアム・クラスとして登場したEクラスは、上位のSクラスより小さいモデル、言わば「大衆」を意識して作られたモデルだ。一部のユーザーにしか手が届かなかった高級なデザイン、性能、快適装備、安全装備を「大衆化」したという点で、大きな意味を持つ。 裕福ではない一般的な家庭で育った筆者としては、スリーポインテッドスターを輝かせるEクラスは憧れの対象であると同時に、長らく縁の薄いクルマという印象であった。しかし、Eクラスの設計哲学は多くのクルマに影響を与えたと言われている。 上流階級のみが味わっていた先進的な技術は、やがて時間の流れとともに大衆化し、より多くの人々がその恩恵を受けられるようになる(自動車の普及もそうである)。それが真の発展であり、Eクラスはまさにその先端に立っているのではないだろうか。 ミディアム・クラスもといEクラスは、今後もメルセデス・ベンツの中核として、また世界のプレミアムセダン/ステーションワゴンの指標として進化を続けていくに違いない。
林汰久也(執筆)