中学受験を決めるのは親?それとも子ども?専門家の見解は…。
今回のテーマは、中学受験についてです。小学校の中学年になったら、中学受験について考えようと思っているけれど、まずは、子どもの意見を聞いてみたいという人も多いようです。 「たまひよ」アプリユーザーの声をご紹介するとともに、子どもと相談するときに、どんなことを伝え、どうやって子どもの意見を聞いていくといいのか、勉強のやり方を教える塾「プラスティー」の塾長八尾直輝さんにアドバイスいただきました。 【画像】最新の脳科学でわかった、0カ月から10歳の子どもの脳の領域【専門家】
根強い「本人の希望を尊重したい」という声
最初にみんなの声からご紹介します。 「子どもが希望したら、それに対応できるよう準備しておこうと思っている限りです」(みい) 「自分の思う通りにさせたいが、選択肢としていろいろな道があることは説明して選ばせたい」(ちぃまま) 「まだ決めていない。でも、自分にあった勉強の仕方、生きていくための力、助けあいなどをゆっくりでいいから見つけて成長していってほしい」(Meg)
子どもにわかりやすく伝える3つのポイント
中学受験については、まだ検討段階だし、子どもの意見も聞きたいという親御さんも多いようです。でも、そもそも小学校低学年や中学年で自分で選べるものなのか…という悩みも。 中学受験や私立校について、子どもにどのように説明し、どう子どもの意志を聞いたらいいのか、これまで2000人以上の子どもを指導してきた勉強のやり方を教える塾「プラスティー」の塾長八尾直輝さんにお話を聞きました。 「中学受験は小学3・4年生からの準備が基本とされますが、その時期に子ども自ら主体的に中学受験を目指し、塾へ入る意思決定をするのは難しいものです。学習方針の決定と子どもの主体性の尊重は矛盾することもあります。 実際、私たちの塾も、『自ら主体的に』通う小学生ばかりではありません(笑)。学習方針の決定に関しては、ある程度親が主導権をもって決めていくことは自然なことと言えるでしょう。 もちろん『子どもの主体性を重視すること』は大切です。子どもの興味・関心を重視し、意欲的に学ぶことが、その子の成長を最大化させるからです。しかし子どもに選択権をすべて委ねることが正しいとも言えないところが悩みの種です。小学校低学年では、自分の考えを上手に言葉にできないこともありますし、子どものタイミングを待ち続けると、『時すでに遅し』にならないか…と心配になるのが親心だと思います。 そのような状況では、まず子どもに中学受験に関する情報を伝えることが必要です。なぜなら、そもそも子どもは受験に関する知識がなく、自分の意見を持つのが難しいからです。話し合いをしながら、同時に子どもに中学受験に関する情報を伝えることを意識してもらいたいと思います。 それを踏まえた上で、子どもと話し合う上で以下の3つのポイントを意識してみてください。 1つ目は、子どもが理解できる言葉で、中学受験を説明することです。 『たくさんある学校から、自分が好きな学校を選ぶことだよ』『たくさん勉強して、いろんなことを知ることができるよ』など、子ども目線で理解できる言葉を探しましょう。 長期的な視点よりも、実際に子どもが想像できる具体的な行動を示すのがポイントです。まずは親から情報を伝えることが、子どもなりの意見をもつ出発点になります。 2つ目は、一緒に家庭学習をし、学習を通して会話をすることです。 例えば、子どもが難しい問題に挑戦するのに夢中であれば、『中学受験をすると、こんな問題にたくさん取り組むことができるよ』と話すことで、中学受験のイメージを子どもなりに想像することが可能になります。また一緒に学習することで、子どもの得手不得手を親が理解することが、子どもの発言の真意を適切に推し量ることにつながります。 3つ目は、中学受験に関するドキュメンタリー番組(動画)や合格体験記を活用することです。番組はビジュアルで表現されますので子どもも理解しやすく、自分なりに意見や感想を言いやすくなります。 また、合格体験記を読むのも効果的です。年齢の近い『先輩』の書いた内容は、子どもにも刺さりやすいことでしょう。情報の中立性には注意が必要ですので、子どもに見せる前に内容を確認した上で、親の判断で活用していただければと思います」(八尾直輝さん) 動画やリアルな体験記は、確かにわかりやすそうですね。ぜひ参考にしてみてください。 (取材・文/メディア・ビュー 橋本 真理子)
八尾直輝さん
PROFILE) 勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を創業、取締役・塾長。東京(飯田橋)・京都(烏丸御池)・大阪(天王寺)に教室を展開している。共著に『子どものやる気を引き出すゲーミフィケーション勉強法』(講談社)、『小学生から自学力がつく!』(すばる舎)がある。5歳の双子と新生児3人の父。趣味は将棋の棋譜をAIで解析すること。 ※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。 ※記事の内容は2024年2月の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部