就職情報サイト一択時代の終わり 多様なツールを企業はどう使う
前回「新卒採用意欲高まるも、進む企業の就職情報サイト離れ」で紹介したように、企業・学生の「求人広告型」就職情報サイト離れが進み、それに代わる新しいツールの利用が広まっています。 日常生活に落とし込んでみると、これが当然の流れだとよく分かります。例えば、飲食店を探すとき、何を利用するでしょうか。以前は「ホットペッパーグルメ」や「ぐるなび」などの「広告型」グルメサイトが主流でした。そこから派生して「食べログ」のような「口コミ型」が登場。その後、各サイトにレコメンド機能などが付くようになりました。 さらに近年は若い世代を中心に、SNSで飲食店を探す人が増えています。 就活生にとって、企業について調べるのは飲食店選びと同じ。求人広告型サイトは「何だか宣伝っぽいし、どこまで本当のことが書いてあるか分からない。実際のところはどうなのかを知りたい」と思うのは自然なことでしょう。 ●口コミの信頼性を担保するサイトが登場 そんな就活生の声を反映したサイトのはしりが、1996年にスタートした「みんなの就職活動日記」(現みん就)です。学生自身が「面接でこんなことを聞かれた」「〇〇会社から連絡があった」といった情報を書き込みます。ただ、就職活動はライバルとの戦いという側面もあるので、中には嘘や間違った情報を書き込む学生も出てきます。情報の信頼性が担保されない点が口コミサイトのネックでした。 そのネックをカバーすることになったのが、社会人が転職活動時に利用する「OpenWork」などの口コミサイトです。事前登録し、現在在籍している(していた)企業についての情報をかなりしっかり書き込まなければ、サイトに掲載されている他社の情報を見ることができない仕様になっています。 次第に学生の間で「社会人が見る転職口コミサイトを見ると、企業の内情がよく分かるらしい」と評判になります。サイトの運営会社は学生も使える形に仕様を変更し、次第に利用する就活生が増えていきました。運営会社のオープンワークによれば、2024年卒業予定の学生ユーザー数が過去最多の29万8951人(24年1月25日時点)に達したと発表しています。就活生の約6割が「OpenWork」に登録している計算です。