若手バンカー疲弊まん延、再び週100時間労働-中間管理職も苦悩
(ブルームバーグ): ウォール街の若手バンカーに再びストレスが高まっていることを知るには、彼らに仕事を割り振る直接の上役である「スタッファー」を見てみよう。
バンカーやクライアントが何かを望むと、スタッファーが下っ端を探し出して雑務をさせる。銀行が企業の合併・買収(M&A)などのディール低迷から抜け出し、少なくなった人員で新規案件を獲得しようと大きな野望を抱く中、仕事の配分はますます難しくなっている。
若手もスタッファーも共に、ストレスを感じている。
例えば、JPモルガン・チェースやUBSグループの若手バンカーは、最後の自由時間を返上させられないように、社内の追跡システムで1週間の勤務時間を水増ししていると内々に語った。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)では逆に、週100時間という制限に抵触するのを避けるために勤務時間を少なく記録していると2人の若手が打ち明けた。
分析や売り込み資料を作成する若手バンカーの手が足りない時、上司にそれを伝えるのはスタッファーになる。シティグループのあるスタッファーは、初めての時にどれほど緊張したかを振り返った。
あるマネジングディレクターに「みんな忙し過ぎる」とメールした後、彼女は泣いて体調を崩した。後日「あなたには失望した」という返信が届いた時には画面を見つめて憤慨し、その後銀行を辞めた。
心臓発作
現職および最近退社した若手バンカーとその直接の上司へのインタビューによると、投資銀行が控えめながらも増加する案件を追いかける中で、決してなくなることのなかった週100時間労働は再び一般的になりつつある。行員たちはキャリアを守るために個人名を伏せた。
仕事量の増大は、若手に休みを与え健康を守るというほんの数年前に各行がした約束の真偽を疑わせる。若手バンカーにとっては、以前からの不満が再び前面に出てきた。
BofAのアソシエート、レオ・ルケナス氏が心臓発作で死亡したのは5月2日のことで、元グリーンベレーの同氏が20億ドル(約3200億円)規模の取引を終えた数日後のことだった。