規定量超える飲酒 JAL機長2人が隠ぺい 出発3時間遅れで運航
日本航空(JAL)は10日、今月1日に国際線を運航した59歳と56歳の男性機長2人が、運航前日に社内規定値を超えるアルコール量を摂取していたと発表した。2人は運航前の自主検査でアルコールが検出されていたが、「誤検知」と偽ったり、自主検査の結果を隠したりしており、同社は事態を運航後に把握した。同社は「本来は欠航させるべきで、再発防止の徹底を図る」としている。 JALによると、2人は1日朝から豪州・メルボルン発成田行きのJL774便を運航する予定だった。このうち1人は早朝にホテルで行った自主検査でアルコールが検出されたが同社に報告せず、「体調不良」としてホテルを出る時間を遅らせていた。もう1人はホテルや空港での自主検査でアルコールが検出されていたが、飲酒は伝えずに「誤検知」と説明。2人とも後の検査でアルコール値が無いことを確認してから運航し、同便の出発は3時間11分遅れた。 同社の社内規定では、飲酒は乗務の12時間前までとしており、アルコール量はワインのハーフボトル1本に相当する40グラム以下にするよう定めている。運航後に聞き取り調査をした結果、2人は運航前日の午後2~4時に、メルボルンの店でスパークリングワイン1杯ずつとワインボトル3本を注文していた。全て飲んでいた場合、社内規定の約6倍のアルコール値に相当するという。 JALをめぐっては2018年と19年に2度、パイロットの飲酒問題で国土交通省が事業改善命令を出している。今年4月にも、滞在中の米国・ダラスのホテルで男性機長が酒に酔って騒ぎ警察を呼ばれ、欠航となっていた。同社は一時、パイロットとCAの滞在先での飲酒を禁止し、10月から解禁していたが、11日から再び禁止するという。(増山祐史)
朝日新聞社