五輪会場見直し問題で「4者協議」(全文2完)削減分でアスリート強化資金に
コストとインベストメントの概念をしっかり捉えることが必要
武藤:知事、大変ありがとうございます。私どもも予算が現実の支出として、われわれの考えております2兆円を切る、これはすでに東京都とも国とも、十分、意見交換した上でのものでございますので、これを上限として現実の数字をこれ以下に抑えると。そのための予算の管理のガバナンスを強化して、実際がちゃんと予算の範囲内に収まるように、そういう努力をしなければならないというふうに思っております。知事のご指摘は大変重要なことでございますので、そういうつもりでやらせていただきます。 小池:よろしくお願いいたします。建築、施設の部分というのは、実は全体からすれば割合はむしろ少ないほうでございますが、それにおきましても例えば海の森も、最初のころと、突然1000億になったり、今度その半分になったりということで、かなり、そのぶれが激しいというのも経験をしてまいりました。そういう意味ではきちんと1つずつ精査をしていくということは極めて大切なことであり、そういったことを踏まえながらガバナンスの利いた調整会議であることを願っております。 森:知事のおっしゃるとおりです。ですが何をつくるにも、結果は都がおつくりになるんですよ。都がおつくりになるんです。われわれがつくるんじゃないです、組織委員会は。案配をするだけのことです。ですから高いと思ったら削ればいいんです。もっと安くしたいと思ったら安くすればいいんです。私はこの会長になったときもそれを原則でやってきましたよ。 ですから、選挙のときにおっしゃってた、コンパクトを広げましたねとおっしゃったけど、あれはそうしないとやれなくなりますよっていうことを申し上げたんです、この間は。ヨットにしても、理想的なんです、海でやるのは。あそこでやれば防潮堤が、2本も必要なんです。1本950億円って書いてありましたけど、そんなものを造ったら都民が承知しないだろうと私は思っているんです。大変叱られましたよ、関係者から私は。 しかし結果的には飛行機のコースがあって、空撮ができない。IOCにとって一番大事なのは空撮なんですね、飛行機から撮影する。それも危なくてできないという、そういうこともあってこのヨットを動かしたわけですけど、今の海の森公園でもそうだと思いますよ。コースだけなら、これ、ヤマモトさん、90から100億じゃないんですか、コースだけなら。そうでしょう。 海の森公園というのは、必ずしもヨット、あれに必要なんですか、オリンピックに。僕は初めからそれは疑問視しているんです。なくたっていいんですよ。ボートコースさえきちんとできれば。しかしあそこはもともと、(※判別できず)ごみがいっぱい埋まった島で、あるいはきれいな公園にしたいというのは、前からの東京都の願いだったんだと思います。そういうもの一緒にすれば300億とか、400っていう金になるのは当たり前なんであって、だから安くするっていうのは、大いに私は賛成ですよ。だからできるだけ削減をしていくことが大事だと思います。 従ってそのことも含めて、われわれも気を付けてまいりますけども、あたかも何か3兆円が上に予想されるんだっていうことばかり国民の皆さんに言われると、はなはだ迷惑なんです。私どもは2兆よりもどうして下げるかっていうことをずっと研究してきてるんです。何かっていうと、これは話が長くなって恐縮ですが、ロンドンの場合は最終的に国が持つべきもの、セキュリティーとか、エネルギーであるとか、輸送費だとか、これは結局国が持ってくれて、確か9500億ですか、入れてくれているんですね。それで2兆数千億になっているはずです、ロンドンは。ソチはもっといっています。4兆ぐらいいっています。 だからそういうものをわれわれは見ながら、なぜ決められないのか、なぜ額を明確に言えないのかってよく叱られたんですが、まだその辺はこれから大臣のご協力をいただいて、国が関わるものはなんなのかっていうこと、これはよく研究しなきゃいけないことですよ、勉強も。そうなれば額がぐんとまた縮まってくるはずなので、そういうことを努めながらわれわれはやっていきたいと思っております。 設備を造ることについてお金は掛かるんで、けしからん、けしからんっていうなら、もう安くしましょう。できるだけ安くしましょう。ただし、これからあとに立派な施設として残るっていうことも当然考えなきゃならない。 小池:ご指摘ありがとうございます。そしてこれまでのご努力にも本当に敬意を表したいと思います。要はコストとインベストメントがこれをきちっと、概念をしっかり捉えることが、将来に向けてのインベストメントは、これは東京都も必要だと思いますよ。むしろそれがわくわく感を呼んだり、スポーツによる健康寿命を延ばしたりというようなことがありますけれども、コストについては、もう少し東京都そのものもシビアにしなくてはならないと思って、今、情報公開も徹底して行わせていただいているところでございます。 むしろこの東京2020年大会はその意味でも非常に大きな、東京にとっても分水嶺になろうかと思っておりますので、必要なインベストメントはしていきたいと思っております。ぜひともご協力のほど、よろしくお願いいたします。 森:期待しています。