横浜DeNAは、なぜ今季観客動員を増やせたのか?
ディズニーランドのスタッフに対する接客教育は有名だ。お客さんの側に立った徹底した顧客主義。これまでは、球場の接客スタッフは球場側が雇っていたが、客へのサービス向上を図るため、1年前からDeNAが管理する形態に変え、接客アルバイトの育成、教育に力を入れている。顧客満足度をアップさせてリピーターを増やそうという作戦だ。 またディズニーランドではポップコーンが名物だが、横浜スタジアムでもポップコーンを売り始めた。実は、これは複雑な事情をかいくぐったアイデア商法なのだ。横浜スタジアムでの物販は、すべて球場側の収入となるのだが、球場側と交渉を行い「キッチンスペースもとらず既存の店舗を減らすわけではないから」と説得をしてワゴン販売という隙間産業を発掘した。球場側の協力を得えるなど至る所に苦心の跡が見える。文字数の関係上、これ以上詳しく書けないが、業者に丸投げだったものを社内で作業を進め、外注部分を少なくするとか、合い見積もりを取るとか、これまでビジネスの世界での当たり前が当たり前でなかった部分を見直しコストカットを断行してきた。 さて気になるのは22%の観客動員に伴う赤字の減り幅。池田社長は「去年より選手への投資金額も上がっているので、単純に増えた分で赤字が減ったとは言えないのですが、10億を切るくらいではないですか」と見ている。ちなみにTBSがオーナー時代の赤字は年間20億円と言われていた。 ――最終的には黒字経営したいのでしょう?と問いかけると、池田社長は、「そうなんです」とは言わなかった。 「構造的によほどの何かを発明しない限り難しいんです。コスト削減はやりましたが、選手投資には手をつけたくありません。お客さんに感動を与えることのできるチームを作ることが、このビジネスのコアなんです。まだ成長過程ですが、そこにコストはかかります。ただ、黒字になっている球団はありますよね。球界全体の問題というわけではない。私たちが企業努力をしなければならない余地はまだまだあります。赤字額をできるだけ減らして健全な経営をしていかねばなりません。それらをやりきってから次の課題を見つめ直すということではないでしょうか」