横浜DeNAは、なぜ今季観客動員を増やせたのか?
こういう傾向のアクティブサラリーマン層が導線となって女性ファンが増えていることもわかった。 「この人たちがコアになって、2回目以降に、女性や後輩、土日には、ファミリーを連れてくれるようになるにはどうすればいいかを考えました。そこを意識した施策を打ちました。外野席に座っていただく熱狂的なファンの方(ヘビー)は自分からベイスターズに関する情報を取りにきていただけます。でも、初めて来てもらった、この人たちがライトなファンに変わっていただくには、この人たちへ情報を発信することが大切だと考えました」 積極的にITを使って情報を発信した。今季は、スペシャルイベントと銘打った企画を8度、話題となった100万円チケットや勝利試合の点差に応じて特典がプラスされる倍返しチケットなど各種の企画チケットを52種類も出したが、アクティブサラリーマン層に狙いを絞った企画やチケットも作った。球場全体をビアガーデンにしてしまおうという「ベイビアガーデン」や「ビール飲み放題チケット」、「食べて勝!B食祭」という全国からB級のおつまみを集めるイベント、元野球少年への琴線に訴えようとした「おやじだらけの遠投大会」などのイベントが実行され、大きな効果が生まれたという。 池田社長は、2年続けてアメリカに渡ってメジャー、マイナーの視察を行っている。感銘を受けたのが、ロングアイランドにあるマイナー球団、ダックスで見た光景である。 「お客さんは、試合を見ていない(笑)。試合中に監督やコーチがお客さんに挨拶に来ているんです。でも野球をつまみに楽しんでいる。勝敗云々よりも街ぐるみでスタジアムに来ることを楽しんでいる。日本的なしっかりと野球を見て一斉にイニングの合間に何かを買うという観戦スタイルは世界に誇れるものですが、『野球の素晴らしさだけを見て下さい!』という固定観念だけでは壁にぶつかります。どうやってスタジアムに来ていただくか、楽しんでいただくかの概念を広くしていかねばならないと思っています。年に2、3回でいいんです。『今日は野球場で飲もう!』でもいいと思うんです。他業種のいい部分をどんどん学び、単なる真似ではなく自分たちのオリジナリティに変えていくことが大事です。例えばディズニーランド。おもてなしの気持ちに学ぶべき点がたくさんあります」