謎多い「マツタケ」……今年は豊作でも長野県が人工栽培の夢
THE PAGE
今年はマツタケが豊作で、このところ生産量全国トップの長野県をはじめ各地のマツタケ小屋や料理店がにぎわっています。しかし、マツタケは気象条件などにより発生量が大きく変わり安定供給できないのが難点。このため長野県など自治体では「人工栽培や生育促進の実現を」と研究に拍車がかかっています。いつでも食べられる安いマツタケは実現するのでしょうか。
例年より早く料理店にぎわう
長野県上田市などのマツタケ産地は、マツタケ小屋と呼ばれる季節料理店がオープンし、昼食や夜の宴会などがにぎわっています。豊作が伝えられたため、例年より1か月近く早い9月上旬から店を開いたところも多く、群馬、静岡など近県からの家族連れの利用が目立っています。マツタケ小屋が10店余も集中する上田市の山沿いの店では、肉や野菜にマツタケを添えた鍋物やどびん蒸し、マツタケご飯などを楽しむ5000円から1万円前後のコース料理が人気です。 長野市信州新町の道の駅には、笠の直径が12センチ以上もある朝採りのマツタケが1本4000円から6000円前後の値段で並び、観光客が品定めしていました。道の駅を訪れていた、近くの村で1ヘクタールのマツタケ山を持つ山林業の主婦(71)は「以前に比べ採れる量は減っているが、今年はよく採れた。出来もいい。今シーズンは5~6キロ売りました」と話していました。地元の人たちによると「傘が開いていないマツタケが上物とされるが、傘が大きいマツタケは香りが強く、これもまたいいものです」。 これだけマツタケに関心が集まるのも、味わいや香りとともにその「希少価値」からです。長野県のマツタケ生産量は2006(平成18)年以降、毎年27トン、26トン、35トンと全国トップが続きましたが、2009年はトップだったものの、生産量はわずか7トンにとどまりました。2014年は34トンでしたが、生産量は年により大きな幅があります。全国的に見ると、かつて一大産地だった中国地方などの生産量が大きく落ち込んでいるといいます。