わざわざ食べに行く価値がある九州のラーメン
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。 山本益博のラーメン革命!
初めての長浜ラーメンはびっくりするほどこってりしていた
私は10代の頃、札幌に2年間住んでいたこともあり、北海道には何かと縁があるのだが、九州は20代になっても縁が薄かった。きっかけは、30代になってから、雑誌の取材で、水炊きやらもつ鍋、それに屋台に出かけた。 その時、長浜のラーメンを食べた。東京のあっさりしていたラーメンを食べていた者からすると、びっくりするほどこってりとしたラーメンだった。
その後、美味しいと思ったのは「一風堂」のラーメンだった。ごまと紅しょうががアクセントになっていて、細麺がするすると喉を通っていった。「替え玉」というお替わりの麺があることを知ったのもこの頃である。ただし、ラーメンは何かのついでに食べるものだった。 例えば、福岡天神のフランス料理店「イルドフランス」、博多の日本料理「ゑびす堂」、唐津の鮨屋「つく田」、小倉の「天寿し」などに出かけるついでだった。
福岡周辺以外だったら、鹿児島の「こむらさき」、延岡の「再来軒」など。この「再来軒」のラーメンは、豚骨からすっきりとしたうま味を存分に引き出したスープで、すぐに虜になったほどで、後日、延岡へ出かけた際、今一度そのスープに出会いたいと「再来」したほどである。
わざわざ福岡まで食べに出かけた「博多一双」のラーメン
わざわざ、ラーメンを食べるために福岡まで出かけたのは、近年のことで、評判高い「博多一双」目掛けて出かけて行った。想像した通りのこってり派のラーメンで、若者にウケていたが、私は完食するのに時間がかかった。
食べ終えて、突然うどんが食べたくなり、前から気になっていた「かろのうろん」に並んで食べた。写真撮影禁止なので、うどんの姿は撮れなかったが、シンプルで出汁とうどんが優しくマッチして、お腹を癒してくれたのが、ありがたかった。