賞金ランキングでシード選手を決めているのは世界で日本の男子ゴルフだけ!? ポイント制に移行できない理由とは?
日本男子ツアーのランク付けについて、賞金ランキング制からポイントランキング制への移行は、26年以降に持ち越されることになった。改めて両制度の比較考察をしてみよう。 【連続写真】賞金王・金谷拓実のドライバーショット
昨年秋、JGTO(日本ゴルフツアー機構)倉本昌弘副会長がポイントランキング制の導入に言及。 「大会によって賞金額が倍違うからといって、ポイント制の場合は2倍にはならない。賞金制だと高額大会で勝った選手が急に年間レース争いで躍進し、シードになることが起こりうる。そういうことをなくして、選手たちが公平に戦える場を作りたい」と語った。 この趣旨から世界中のツアーがポイント制に移行。日本の女子ツアーも22年よりポイント制を採用している。獲得賞金ランキングで翌年シード選手を決めているのは世界の主要ツアーでは日本の男子ツアーだけで、完全にガラパゴス化しているわけだ。 しかし、倉本氏の提案はポイントの付け方にそれぞれ主催者の思惑が絡み、調整できなかったというのだ。 賞金制ランキングの弊害で思い出すのは1954年の米ツアー、と言うのは川田太三氏(元USGA競技委員)だ。 「タムオシャンターゴルフクラブでの世界選手権が優勝5万ドルという当時の常識を超える破格の金額でした。この試合に勝ったボブ・トスキがその年の賞金王になったのです。この1試合を除いた獲得賞金は1万5800ドル。この年、試合数は26で、総額は60万819ドル。いかに世界選手権の賞金が大きな影響を与えたか分かるでしょう。その試合も数年の開催で姿を消しました。なぜ公平なポイント制を採用しないのか、理解に苦しみます」 ただ一方でこんな意見もある。 「日本の試合には主催者推薦枠が全出場者の15%ほどあります。欧米ツアーではそんなものはなく、ポイントだけで出場が決まります。そんな厳格さがあるからポイント制が生きるので、主催者推薦はいわば”ズル”。ならば賞金ランクでも同じことという見方もできます」(TV解説者、タケ小山氏) また「終盤の賞金王争いなどの競り合いが見えて賞金ランキング制のほうが面白い」というファンも多い。 下部ツアーはポイント制へ移行するとほぼ決定しているようだが、レギュラーツアーはどうなっていくのか注視したい。 ※週刊ゴルフダイジェスト2025年1月21日号「バック9」より
週刊ゴルフダイジェスト