岡山・兵庫女児連続殺傷事件「勝田州彦容疑者」を追い詰めた元兵庫県警刑事の「執念」と被害女児の祖父母が語った「無念」
■父親に依頼された「口止め工作」 飛松氏が勝田容疑者の実家を3回目に訪問したとき、父親ともだいぶ打ち解けた状態になっていた。父親は「私が警察官としてやってきたことは何やったんや。こういうことになって困る」と話した上で、飛松氏にこんな依頼をしたという。 「津山市の事件については本人が自供したんやからしゃあない。でも、私はこれ以上、他の事件については言ってほしくないんや。息子に『これ以上、言わんといてくれ』と、オヤジから頼まれたと伝えてくれへんかな。あんたが警察官やから頼むんや」 つまり、勝田容疑者に「これ以上は自供するな」と口止めをしてほしいということだった。それに対して飛松氏は 「あんたが直接、面会に行くか、弁護士に頼んで言えばいいじゃないかと断りました」 その会話から2~3カ月後に父親は死去し、母親も4年前に亡くなった。 一連の事件をずっと追ってきた飛松氏だからこそ、事件が急展開した今、ひとつ懸念があるという。 「津山市の事件では、最初は自供しましたが、途中から一転して否認しました。それゆえ、2つの事件(たつの市、加古川市の事件)についても物的証拠が少ないので、今後、否認に転じることも十分考えられます」 そして、事件をこう振り返る。 「勝田容疑者はずっと女児への傷害、暴行を繰り返しており、警察も手口や性癖はわかっていた。刑務所でちゃんと矯正させるなり、出所してからも観察なりをすべきでした。そうすれば防げた犯罪もあったはずです。たつの市と加古川市の事件も、もっと早く本人から事情聴取すべきだったのではないか。他にも、まだ事件が隠れている可能性がある」 飛松氏によれば、柚希さんの冒頭の祖父母は他界したという。記者に打ち明けた無念は晴らされるのだろうか。 (AERA dot.編集部・上田耕司)
上田耕司