岡山・兵庫女児連続殺傷事件「勝田州彦容疑者」を追い詰めた元兵庫県警刑事の「執念」と被害女児の祖父母が語った「無念」
2006年に兵庫県たつの市で小学4年の女児が刃物で刺された事件で、兵庫県警は11月7日、勝田州彦容疑者(45)を殺人未遂の疑いで逮捕した。勝田容疑者は、04年に岡山県津山市で小学3年の女児を殺害したとして、18年に殺人容疑で逮捕、23年に無期懲役判決が確定していた。18年前の未解決事件が一気に動きだした異例の展開だが、勝田容疑者は17年前の“女児殺害事件”についても関与をほのめかしている。事件発生後、被害女児の祖父母が語っていた無念と、事件を追い続けた元兵庫県警刑事の執念とは――。 【写真】現在の勝田州彦容疑者の姿はこちら * * * 兵庫県加古川市の小学2年生、鵜瀬柚希(うのせ・ゆずき)さん(当時7歳)が刺殺されたのは2007年10月16日のことだった。事件から2年後の09年10月、記者は柚希さんの父方の祖父母に取材をしていた。当時、祖母はこう話した。 「柚希ちゃんが救急車の中で息も絶え絶えになりながら、『おっちゃんに刺された』と言ったと、夫が息子から聞いたんです。『おっちゃん』とは誰だろうと頭から離れません」 事件当日、柚希さんは自宅近くの公園で遊んだ後、自転車で帰宅。自宅前で姉や妹とおしゃべりしながら家の裏に自転車を止め、玄関前まで来たところで、胸と腹を刃物で刺された。姉と妹が先に自宅に入った後、ほんの1~2分の出来事だった。 救急隊員が駆けつけると、母親が柚希ちゃんを抱きかかえ、周辺は血だまりになっていたという。柚希さんは病院へ搬送されて間もなく、出血多量で死亡した。 事件発生直後から、県警も捜査にあたったが物的証拠に乏しく捜査は難航、迷宮入りかと思われていた。 記者は祖父母の元に通い、祖父とは自宅やトンカツ店などで食事をしながら話を聞いたこともある。祖父は涙ながらに「柚希を忘れるなんて絶対に無理。頭から離れない。もし、犯人が目の前にいたら殺す」と何度も語っていた。 そんな未解決事件が動いたのは、今年11月7日。別の女子殺害事件で無期懲役が確定し服役中だった勝田州彦(くにひこ)容疑者が兵庫県警の事情聴取に対して、2件の未解決事件についての関与を語るようになった。 県警は7日、兵庫県たつの市で06年9月、学習塾から帰宅途中だった小学4年生の女児(当時9)を、刃物で腹や胸などを刺し、重症を負わせた殺人未遂の疑いで、勝田容疑者を逮捕。さらに、勝田容疑者は07年の柚希さん殺害についても関与をほのめかしているという。