2024年「良かったドラマ」ベスト10。大号泣の恋愛ドラマに、“何もかも強烈すぎた”医療ドラマも外せない<前編>
8位:西園寺さんは家事をしない
令和の時代の多様な生き方を描いた作品として、夏に放送された『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)も楽しめました。徹底して家事をしない主人公・西園寺一妃(松本若菜)と、年下の訳ありシングルファーザー・楠見俊直(松村北斗/SixTONES)とその娘・ルカ(倉田瑛茉)が“偽家族”として、風変わりな同居生活をはじめる物語。 女優・松本若菜のチャーミングな魅力が炸裂した西園寺さんのキャラが最高でした。仕事ができて、明るくポジティブでコミュ力も高い。「やりたいことをやる、やりたくないことはやらない」主義を貫くも、ズボラ・ルーズなのではなく「やらないための戦略」もしっかり練るという、今っぽい設定のキャラクターでした。 周囲を大切にしながらも、自分の“心沸き立つ”生き方に一生懸命な西園寺さんに、励まされた視聴者は多かったのではないでしょうか。
7位:家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
昨年BSで放送されて、今年7月から地上波でも放送された、通称“かぞかぞ”こと『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合ほか)も大好き! 作家・岸田奈美氏が自身の家族について綴ったエッセイを原作としたドラマです。 主人公が、急逝した父(錦戸亮)、突然車いすユーザーとなった母(坂井真紀)に、ダウン症の弟(吉田葵)ら家族と、そして自分自身と向き合う日常を描いた作品。家族の死、障がい、そして不治の病を描いた物語ですが、決して悲劇的ではない。人間が抱える面倒くさい感情や、どうしようもない葛藤、そして何よりも愛おしさが、ユーモアを交えて表現されています。 また主人公・七実を演じたのは、前出のドラマ『不適切にもほどがある!』や映画『あんのこと』で注目を集めた河合優実。彼女の豊かな心情表現が光る、笑いあり、涙ありの名作です。
6位:新宿野戦病院
「ふてほど」に加え、ドラマ『季節のない街』(Disney+/テレビ東京系)、スペシャルドラマ『終りに見た街』(テレビ朝日系)と、今年は宮藤官九郎脚本が多くて嬉しい1年でした。なかでも好きだったのは、『新宿野戦病院』(フジテレビ系)。破天荒な元軍医・ヨウコ(小池栄子)と、気取った美容皮膚科医・亨(仲野太賀)を中心に、新宿歌舞伎町にある「聖まごころ病院」の救急外来で起こる悲喜こもごもが描かれました。 強烈な登場人物たちを魅力的に描きながら、いまの時代を絶妙に切り取るクドカン作品。本作では“多様性”という言葉ですべてを許容しているかにみえるイマに蔓延る“違和感=不平等感”を物語のなかで浮き彫りにしていました。 不平等な世の中だけど、小池栄子が「命は平等」と“雑~に”寄り添ってくれる面白さがクセに。そして最後の2話では、未知のウイルス・ルミナとの戦いを、真正面から描きました。現実世界の“コロナ禍”と重なる描写――その重みとリアリティは強烈で、忘れられない作品に。 <文/鈴木まこと> 【鈴木まこと】 雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201
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