【ラグビー】アルゼンチンとのツアー最終戦に挑むフランスがメンバーを発表。試練を乗り越えられるか。
南米遠征中のフランス代表は7月10日(現地時間)、先週のアルゼンチンとの第1戦の主力は休ませ、「フランス・デブロップメント」チームとしてウルグアイとの交流試合に勝利した(43-28)。グラウンド外での選手の不祥事が続き、重苦しい空気に包まれる中、一抹の安堵感を得られたのではないか。 この試合は公式戦ではないため、出場した14人のノンキャップの選手はキャップを得ることはできなかったが、昨年のワールドカップでも苦戦させられたウルグアイを相手に、国際試合を経験することができたのは収穫となるだろう。 前半、今年のトップ14のトライ王(17トライ)であるSHバティスト・クイユーが2トライを決め、キャプテンとしてチームをリードした。後半は194センチ、149キロの巨漢LOポソロ・トゥイランギ(19歳、4キャップ)がピッチに入り、2分後に相手陣22メートルからディフェンスのギャップを抜けて1トライ。その2分後にはグラウンドほぼ中央から、右へ左へとボールを持ち替えながら、ブルドーザーのごとくハンドオフで5人のディフェンダーを薙ぎ倒しゴールへ一直線に走り、2トライ目を挙げた。 ウルグアイも追い上げトライ数は4-4としたものの、ディシプリンの低さが仇となり、この日成功率100パーセントのフランスSOレオ・ベルドゥ(26歳、0キャップ)がキックで稼いだ得点(2コンバージョン+5PG)の差を埋めることができなかった。 今週末におこなわれる遠征最終戦のアルゼンチンとの第2戦は、第1戦と同じメンバーで戦う予定だったのだろうが、現状にアジャストせざるを得ない。暴行事件で逮捕されたLOユーゴ・オラドゥに代わりマイケル・ギヤール(23歳、1キャップ)が、また同じく逮捕されたFLオスカー・ジェグに代わりジュディカエル・カンコリエ(28歳、4キャップ)がスタートで出場する。カンコリエは第1戦でもスタメンに入っていたが、扁桃炎のため出場することができなかった。 ベンチには、ウルグアイ戦での活躍が認められたFLキリアン・ティクセロン(22歳、0キャップ)と、人種差別発言でチーム追放となったFBメルヴィン・ジャミネに代わってベルドゥが入り、SHはクイユーではなく、『デュポンの後継者』として期待されているバティスト・ジョノー(20歳、0キャップ)が選ばれた。 相次ぐ不祥事に、フランス国内では「この遠征を続ける意味があるのか?」と言う声も上がっている。それに対して、ファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(HC)は、 「判断は皆様にお任せする。我々はウルグアイ戦の準備に集中し、そしてこのアルゼンチン戦の準備に集中した」と答え、「今回の一連の出来事は、グループに大きな衝撃を与え、トラウマとなっている。選手の心理的なケアのためにメンタルトレーナーが常時サポートしてくれている」と続けた。 会見に同席したキャプテンのSHバティスト・セランは、 「これらの出来事は僕たちの手には負えないこと。僕たちは明日の試合で自分たちにコントロールできることに集中したい。選手として僕たちにできるのは、この試合でどれだけ自分たちに厳しくなれるかということ。先週よりもハードな試合になる。それに応えなければならない」と試合に臨む決意を述べた後、「もっとラグビーの話がしたかった」と本音をこぼした。 【アルゼンチンvsフランス】 現地時間7月13日(土)16時10分キックオフ(日本時間7月14日04時10分) (文:福本美由紀)