「超低金利」の住宅ローン、17年ぶり金利上昇へ-日銀の利上げ受け
(ブルームバーグ): 日本銀行による政策金利の0.25%への引き上げ決定は、何百万人にも上る住宅ローン利用者に影響を与えることになりそうだ。ローンを提供する銀行が17年ぶりに基準金利の引き上げに動いたからだ。
三菱UFJ銀行は、日銀の7月31日の追加利上げ決定を受け同日、短期プライムレートを9月から引き上げると発表した。他の金融機関もこれに続く見込み。個人向け住宅ローンの約75%は変動金利型で、銀行が個別に設定する短プラに連動する。
住宅ローン金利上昇は銀行の収益拡大につながる半面、住宅関連市場や家計に影響を及ぼす可能性がある。ネット専業銀行では0.27%の超低金利住宅ローンもあるが、日銀が利上げに動き出したことで反転することになりそうだ。8月1日の株式市場では不動産開発会社などの株価が下落した。
ただ、住宅ローン利用者の負担増までには時間がかかる見込みだ。大半の銀行では毎月の住宅ローン返済額を5年ごとにしか調整できない。このため、適用金利が高くなり返済総額が増えることになっても、しばらく月々の返済額は変わらないケースが多い。
日銀の植田和男総裁は記者会見で、利上げは継続的な賃金上昇を見込んで決めたと述べた。住宅ローンの5年ルールにも言及し、「賃金が先に上がっていき、その後、利払い額が上がるということで、負担もかなり大きく軽減されると認識している」と指摘した。
しかし、専門家は個人消費への影響を注視している。住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFSの塩澤崇取締役最高執行責任者(COO)は、今回は0.25%の利上げであるため「大きなインパクトはないと思われるが、消費マインドへの悪影響が懸念される」と語った。
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Lisa Du