ライブBBT防災キャンペーン「命と未来をまもる」 復興に向けた高岡市伏木の現状と課題
富山テレビ放送
能登半島地震から1年が過ぎ、今年は、復旧、復興が本格化するとみられます。 ライブBBT防災キャンペーン「命と未来をまもる」今週は、再生への課題を整理し何が求められているのか考えます。 8日は、氷見市と同じように液状化被害が深刻なものの、損傷の程度から自力再建を余儀なくされる住宅が多い高岡市伏木の現状と課題です。 高岡市伏木。 海沿いのこの港町も、地震発生後、悲惨な光景が広がりました。 *住民は 「何せびっくり。こんなことはほんとにないこと」 地震でおよそ500世帯が被災。 既に転出した世帯は、あわせて100を超えました。 被災から1カ月後、地区では復興に向け協議会設立。 液状化被害で曳山祭の開催も危ぶまれたが… 規模を縮小、無観客で開催に漕ぎつけた *伏木曳山車 脇田歩総々代 「被災がひどい伏木でもこれだけのことができるということを見せていきたい」 曳山祭にあわせ、街なかでは、被災し休業していた老舗の鮮魚店が営業を再開しました。 一方、地震後、商売をやめる店も相次ぐ 看板メニューは、「アイスモナカ」と「ソフトクリーム」。 伏木で90年、愛されてきた老舗アイス店。 やめていった他の店と同様、液状化の被害を受けていました。 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「外れたというか裂けてしまった。空が見える」 店の3代目、宮本喜代美さんです。 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「見てもらったけど、準半壊だった。ちょっと(傾いた)角度が足りないみたいで」 建物は傾きましたが、市からは、損傷率は20パーセントに満たない、「準半壊」と判定されました。 市の支援はわずか20万円です。 高岡市で、地震で被害を受けた住宅は、先月末時点で5490件に上ります。 氷見市に次いで県内2番目の多さですが、公費解体の対象となる全壊は0件、半壊は152件と被害全体の3パーセント足らずその多くは、宮本さんの店と同じ扱いです。 店を続けるとなると、解体に加え、地盤調査、新しい店舗の建設でさらに自己負担が増えます。 それでも、宮本さんに迷いはありませんでした。 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「やめようとは思わなかった。また来年も来るからやってねと言われたらやっぱり。ちょっと直してまたやろうかなと」 先月中旬、店の解体が行われていました。 店の建替えに向け、大きな一歩です。 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「やっとここまで来た」 地域で愛された店がなくなる現実に寂しさも… Q「壊れていく建物を見て何を感じている?」 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「長い年月を思うと、『こんなもんか』と思う」 宮本さんのもとに解体の見積書が届きました。 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「600万」 Q「どうやって工面する?」 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「家中ひっくり返して探して…」 「ちょっとの傾き(の違い)で(出費が)0円か600万円まあ何を言ってもね…」 あれから1年。 住宅が損壊した被災者の多くは、自力での再建が続いています。 ぬぐい切れない、この先の不安…それでも、宮本さんは前を向いていました。 *前山冷菓店 宮本喜代美さん 「来年は新しい店に慣れて、またお客さんとの楽しい会話とかを楽しみにしている」 高岡市は、吉久地区や横田地区でも、液状化被害が深刻です。 高岡市で被災した住宅は、およそ5500件、そのうち、費用の全額を行政が負担する公費解体は、わずか3パーセントほどです。 さらに、高岡市では、液状化対策の工法がまだ決まっていません。 市は、ボーリング調査をもとに伏木地区では、今年3月をめどに対策工法を住民に示し、その後、地元との合意形成を目指すとしています。 住民の転出に歯止めをかけるためにも、行政には、少しでも早く、対策に取り掛かることが求められています。
富山テレビ放送