AIの未来を担う男、アルトマンの「正体」ー彼に人類の未来を託して本当にいいのか?
企業の利益か、世界の利益か
米議会や一流メディアと親しくなったアルトマンは、耳当たりが良く説得力のある言葉で、自分の会社がAIのリスクに対して非常に慎重であることを説明しようと腐心した。 非営利団体の理事会が営利部門も含めて監督するという非常に特異な組織構造や、アルトマンが規制を歓迎する姿勢、彼自身がオープンAIの株を多く保有していないことを強調し、世間はほぼ称賛一色だった。 しかしアルトマンを批判する人々に言わせれば、彼はオープンAIを独占企業のように運営し、設立時の目標とは正反対のものをひたすら追いかけている。 アルトマンは2015年に、グーグルがディープマインドを買収した余波の中、イーロン・マスクとオープンAIを共同設立した。 グーグルがAIの世界を掌握する未来を懸念した2人は、上場企業が追い求めなければならない利益ではなく、世界の利益のために働きたいと考えた。 しかし、やがてアルトマンは会社の全権を握り、投資家の数十億ドルの資金を追い求めるようになった。
安全性と倫理上の問題でも批判が
今回の奇妙な追放劇とアルトマンがさっそうと再登板した理由について最も深い洞察は、私が勤めるジョージタウン大学のウェブサイトに掲載された地味な学術論文に求めることができる。 論文の共著者で著名なテクノロジー学者のヘレン・トナーは、次のように書いている。 「オープンAIは、著作権問題やデータ注釈者の労働条件、ユーザーが安全制御のルールを回避する『脱獄』に対する脆弱性など、チャットGPTとGPT-4の公開に関連して多くの安全性と倫理上の問題でも批判を浴びている......これとは違って、AIの主な競争相手であるアンソロピックは、安全性を重視する企業として認められたいという願望が一貫して見てとれる」 トナーはアルトマンを解任した理事の1人だ(彼のCEO復帰後に刷新された理事会には残っていない)。企業の取締役がライバル企業の取り組みを公然と宣伝するのだから、表面的には奇妙に思える。