インテリアスタイリスト黒田美津子さんが、ミナ ペルホネン皆川 明さんのアートと1カ月暮らしてみたら…?
ファッションにとどまらず、暮らしのアイテムや空間まで手掛けるデザイナーの皆川 明さん。創作はアート制作にも及びます。「誰かの暮らしの傍ら」にそっとあってほしいという皆川さんの思いをのせたアートを、今回4名のクリエイターの方々に預け、1カ月間暮らしていただきました。『モダンリビング』No.277 「皆川 明さんのアートと1カ月暮らしてみたら…?」より、5回の連載でお届けします。インテリアスタイリストの黒田美津子さんが皆川さんのアートと暮らしてみたら…? 【写真集】皆川 明さんのアートと1カ月暮らしてみたら…?Vol.3|黒田美津子さん|繊細なモチーフから湧いてくる手描きのパワー
CASE 2. インテリアスタイリスト 黒田美津子さん
【アート作品を通して新しい自分を発見】 長年共通の知人を介して互いに知っていながら、まだ会う機会がないという黒田美津子さんと皆川さん。昨年できた黒田さんの北軽井沢のアトリエのために皆川さんが選んだのは、花をもつ天使が描かれた『gift』と、小さな花が片隅に配された『sunny flower』の2作品です。 ”まだお会いしていない黒田さんへささやかな作品を贈り物のような気持ちで” ――皆川 明さん 「自分のことを思って誰かがアートを選ぶというのがとても新鮮な体験でした。自分のなかの違う自分の存在に気付かされるよう」と黒田さん。当初パウダールームに飾っていたというが、玄関のピクチャーウインドウに呼応する様子を眺めながら「玄関に飾るのがふさわしいのかも」とうなずく一幕も。「玄関にはいつも野花を飾っています。この作品は花の絵だからここがきっと居場所ですね」 作品をはじめて見た瞬間は、その繊細さに驚いたといいます。「日が経つにつれ手描きの力をじわじわと感じるようになりました。朝起きて天使と花に向き合うと、すーっと気持ちが落ち着くんです。パウダールームにも玄関にもこの2つの作品がしっくりと収まるので、皆川さんはどうしてこの家のことが分かったんだろうと不思議な気分になりました」
”なぜこの家に合うと分かったのか不思議なくらいぴったりでした” ――黒田美津子さん 仕事柄、アトリエには多様な作品が飾られていますが、器からガラス、小石まで、自分が背景を気に入ってアートだと思えばそれがアートなのだと話します。「部屋にアートを飾ることは料理の味付けに似ています。隠し味のような感覚で、それぞれの味が引き立つように飾ることを心がけています」。天使と花の絵も、黒田さんの思い出の品があふれるアトリエの1つの味として存在していました。 【profile】 黒田美津子 くろだみつこ/2017年Laboratoryy設立。 『Hanako』(マガジンハウス)創刊時より編集に参加。 雑誌でのスタイリングや連載をはじめ、ハウスメーカーとの商品開発、商業施設や個人宅などのスタイリングも手掛ける。 『モダンリビング』2024年11月号(No.277)より