「大相撲秋場所が10倍面白くなる」技以外の決まり方も5種ある?実況40年の元NHK藤井康生アナが“奥深すぎる決まり手ベスト5”を徹底解説/『MonoMaxお相撲同好会』
[決まり手1位/押し出し]増加の理由は力士の体型と深い関係が!?
お相撲同好会 実際に相撲を見ていると、どんな決まり手で勝負がついたかわからないことも多くて……。代表的な決まり手について、どんな動きなのか教えてください。今回は、2024年7月場所の幕内の取り組みで、多かった決まり手5種類について伺えればと思います。 藤井 まず「押し出し」は、手のひらだけが相手に触れている状態で、距離を置いたまま土俵の外に出す技です。 お相撲同好会 まわしを取っていないんですね。 藤井 基本的にはそうですが、まわしを取っていたとしても、押す形になっていたら、「押し出し」になることもあるんです。例えば、相手の前まわしを取って体は密着せずに押す場合ですね。ちょっと話がそれますが、最近は力士の体が大きくなって、押し相撲をとる力士が多くなりました。相手と密着する四つ相撲は、相手も自分のまわしが取りやすくなるというリスクがあります。それより、体の大きさを利用して離れた場所から押していくほうが勝てる可能性が高いという考えもあると思います。 お相撲同好会 「押し出し」1位の理由がわかりました。
[決まり手2位/寄り切り]昭和時代の決まり手はほぼこれ!
藤井 「寄り切り」は、相手と密着した状態で、相手を土俵の外に出す決まり手です。まわしを取っている場合が多いですが、相手の脇の下などに腕が入っている状態でも「寄り切り」と発表されることがあります。 お相撲同好会 「押し出し」もそうですが、いろいろパターンがありますね。 藤井 やはり勝負ですから、狙った通りの技を出せることのほうが少ないですし、流れの中で「寄り切り」に近い形になって勝負がついたから、決まり手は「寄り切り」となることもあります。私が相撲ファンとして見ていた昭和30年代は、決まり手は3~4割が「寄り切り」でした。相手を持ち上げて土俵の外に出す「吊り出し」もありましたが、最近はあまり見かけなくなりました。先ほども話しましたが、体が大きくなって押し相撲をとる力士が増えた影響でしょう。