エヴァンゲリオンは「人造人間」‥人が操縦するのがロボット、原点は「鉄人28号」 ロボット大好き
『日本の巨大ロボット群像-鉄人28号、ガンダム、ロボットアニメの浪漫-』(産経新聞社など主催)を支える〝超マニアック〟な2人目は、この展覧会を監修したインディペンデントキュレーター、山口洋三氏(54)だ。彼に一番の疑問、なぜ『新世紀エヴァンゲリオン』が入っていないのか」をぶつけてみた。 ■エヴァは人造人間 なぜ、巨大ロボットの中に「エヴァンゲリオン」が入っていないのか?と問うと、山口氏はよくぞ聞いてくれました―とばかりに、何度も大きくうなずいた。 「そうなんです。ボクももっと反論、批判があると思っていたんです。でも、ほとんどない。エヴァンゲリオンファンのみなさんも『そうだね、エヴァはロボットじゃない』と納得されているようなんです」 山口氏たち展覧会スタッフも、エヴァを入れるかどうかの話し合いは何度も行ったという。それは「巨大ロボットの定義」を決める会議でもあった。 ①人間が見上げる大きさであること ②人が操縦すること ③ワクワクさせること エヴァも3つの条件を満たしている。だが…。 「体は機械で作られていますが、乗り込んだ人間と同化し〝人〟になる。だからエヴァは血を流す。ロボットは血を流さない」。エヴァは「人造人間」と定義されたのである。 あくまでも人が操縦する機械。人の手によって動かされるのがロボット。だからときには悪者にもなる。筆者が子供のころテレビにかじりついて見ていた「鉄人28号」(昭和38年放送開始)もリモコンが命。「そのリモコンを悪者に渡したらあかん!」と何度、叫んだことか。 「時代ですよね。今ならリモコンに『顔認証システム』をつけておけば、奪われても大丈夫なんですから」と山口氏は笑う。たしかに…。そしてこう付け加えた。「鉄人28号は時代、時代に合わせてリメークされているんですよ」 その歴史をたどると…。 ■初代「鉄人28号」(昭和38年放送開始)。少年探偵、金田正太郎のリモコン操作で動く。放送開始翌年に開業した「東海道新幹線」や「ジェット機」も登場する。 ■「太陽の使者 鉄人28号」(昭和55年放送開始)。ずんどう型から腰がくびれたスマートな体形に変化。石油ショックを経てエネルギー問題が叫ばれた時代を反映し、鉄人の動力源は太陽エネルギー。金田少年はICPOの特別隊員となり、リモコンもアタッシェケース型のビジョンコントローラーに進化した。