【40代、50代・上手に怒ってストレス減!】怒りに満ちた現代の日本で穏やかに暮らすアンガーマネジメントとは?
現代の日本は怒りに満ちている!
「特に現代社会には怒りがあふれている気がします。その原因のひとつがSNSの普及でしょう。以前なら、テレビを見ていてその内容に怒りを感じても、せいぜいお茶の間で悪態をつくくらいで収まっていました。 ところが、SNSだと誰かが発した意見に対して、反論の投稿ができます。その裏には正論を訴えたい正義感によるものもあったり、単なるストレス発散であることもあります。そしてその意見にまた反論が巻き起こることも。こうしていわゆる炎上騒ぎが日常のこととなっています。まるで生贄を探しては、吊し上げるといった様相です。 誰かをたたいたり、怒りをぶつけることは消費でしかありません。問題なのは、ただの消費ではなく、実はその悪習慣が知らないうちに自分自身をむしばんでいるということです。 例えば、脳には神経可塑性という性質があります。これは思考によって脳の神経構造が変わることを意味します。ネガティブな思考癖がある人は、よりネガティブに考えるように脳が変わり、常に怒っている人は、より無駄に怒りやすくなるのです」 最近では、AIがその人の嗜好性を判断すると、似たような記事がアップされてくる。もしも腹立たしいニュースを何気なくクリックすると、さらに同じようなニュースが集まってきて、これらのひとつひとつに怒っていたら、穏やかな日常とかけ離れたものになることだろう。 「怒りを生じやすくなった理由はこうしたSNS問題だけでなく、競争社会の激化や共働き家庭の増加などにより、社会全体が忙しくなったこと。また科学技術の発達で便利になった反面、不便なことや不快なことへの忍耐力が低下していること。グローバル社会で価値観の違いや習慣の違いの多様性が高まったことなども要因と考えられます。 こんな世の中だからこそ、無駄に怒らずに、かといってただ我慢するだけでなく、怒りの感情と上手に付き合っていくことが大切なのです。そうすることで、怒りの感情に翻弄されることなく、自分と考えの違う人を受け入れられ、人生を楽に生きられるようになります」 次回は怒りやすい人とそうでない人の違いについて伺う。 【教えてくれたのは】 安藤俊介さん アンガーマネジメントコンサルタント。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。新潟産業大学客員教授。怒りの感情と上手に付き合う理論と技術をアメリカから導入。教育現場から企業まで幅広く講演、研修、セミナー、コーチングなどを行う。ナショナルアンガーマネジメント協会では世界で15名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルの唯一のアジア人。『[図解]アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数 イラスト/カケハタリョウ 取材・原文/山村浩子