ハリス「敗北」をすでに確信か…「トランプ優勢」を映しだす”ハリス支持のビヨンセ”が応援演説に行った「意外すぎる場所」
ビヨンセの「ハリス応援演説」の中身
また、大卒白人女性は他グループと比較して積極的に投票することが知られている。このグループをしっかり押さえれば、相対的な得票数が上がる可能性が高い。ハリス陣営が、この大票田に目をつけないわけはないだろう。 ハリス候補は過去数日で、「トランプ前大統領が復権すれば、全米で中絶の権利が危うくなる」と危機感を煽るメッセージをメッセージの中心に据えた。米ワシントン・ポスト紙は10月26日付の記事で、「ハリス陣営は、2022年の中間選挙において『中絶の自由』を旗印にした民主党に大量得票をもたらした大卒女性に働きかけている」と分析している。 そうした大卒女性の大多数を白人が占めることは、言うまでもない。 10月25日にテキサス州ヒューストンで開催された支持者集会では、人気歌手のビヨンセがハリス候補の「前座」を務め、男性有権者を離反させかねない「ミソジニー」や「女性差別」などのキーワードをあえて多用しながら、中絶の自由を訴えた。 そしてハリス候補が、眉間にしわを寄せて、表情を怒りで歪めながら中絶に関するメッセージを絶叫した。恐らく意図的に聴衆の危機感を呼び起こす狙いではなかっただろうか。 もうひとつ、ハリス候補が有権者から支持を得ている得意分野が「民主主義への脅威」だ。 民主党はかねてよりランプ前大統領を「歩く民主主義への脅威」と規定しており、「彼は民主主義を破壊する」とのメッセージは大卒白人女性によく刺さるのである。 民主党の世論調査専門家のセリンダ・レイク氏は、トランプ氏が非大卒白人女性にとり「頼れる強い男性」を象徴すると看破したが、女性の自立を掲げる大卒白人女性には、逆に脅威と映る。 破天荒な行動力や下品さでキャラ立ちし、強い男らしさで人気のトランプ氏は保守的な人間であり、「女性の社会進出」「入学・就職・求職においてあらかじめ女性の割当て枠を設ける(実力や実績によらない)クオータ制」「法制上の女性優遇」など、大卒白人女性の既得利益に敵対する存在として認識されている。 そのため、「トランプはヒトラー」「民主主義を破壊する」「品格がない」という攻撃は彼女らに支持されやすい。前述のヒューストンにおける集会では3万人の参加者の内、男性有権者も多くいたにもかかわらず、最初から最後まで中心的なメッセージが「中絶」「トランプは女性の敵」に集中していたことは特に印象的であった。