奈良、人気観光地の猿沢池で水抜き。外来種のカメ増加
奈良県奈良市の興福寺境内に位置し、南都八景のひとつに数えられる「猿沢池」は、多くの観光客が訪れる古都・奈良の観光名所。毎年、中秋の名月には「采女祭」が行われるなどにぎわいをみせる。そんな多くの観光客らの目をいやすこの池で2月に水が消えた。県の環境整備に伴い18年ぶりに池の栓を抜いたのだという。底が見える珍しい光景が話題を呼ぶとともに、たくさんいたカメや魚などの調査も行われ話題に。結果は外来種のカメが大量に増加、多くのゴミも回収されるなど、人のマナーの悪さを浮き彫りにする形となった。 “プロ野球人気”を超えた伊勢神宮 国民の人気を維持できるか? 興福寺造立時とともに作られた人工池である猿沢池。毎年中秋の名月には、奈良時代に天皇の寵愛(ちょうあい)を受けた采女(天皇の日常の世話をする女官)が天皇の心変わりに悲観し、猿沢池に入水した霊を慰めるために始まった「采女祭(うねめまつり)」の開催地でもある。
外来種のミドリガメが大量増加
今回は池の環境整備に伴い、同池を管理する奈良県が2月10日から池の栓を抜き、ポンプで中の水を抜いた。1994年以来18年ぶりの作業で、久々に池の底が顔を出したため、何も知らずにに同所を訪れた観光客は「あれ? 水がない」と言いながら、珍しい光景を写真に残すなどしていたという。この水抜きと同時に行われた池の点検では微量の水漏れがあったが、池の保存上は問題がないという結果となった。 また2月19日には、神戸市立須磨海浜水族館の職員や県庁職員など35人が水底の見えた猿沢池に降り、ぬかるみに足を取られながら網を入れて生物を捕獲。本来、この池に生息していないはずの外来種であるアカミミガメ(ミドリガメ)の繁殖が目立ち198匹、スッポン3匹などを捕獲した。元々生息していたはずのクサガメが54匹で、ハナガメ、ニホンイシガメ、イシガメとクサガメの雑種がそれぞれ1匹だった。県職員らによると、飼育できなくなったものを池に捨てるケースが多かったとみられるという。ミドリガメなどの外来種は同水族館が持ち帰り飼育することとなった。今後は底樋、カメの甲羅干し・産卵場所の整備を実施する予定だという。