<地方議会>「議員を辞めてほしい」リコール以外の方法は?
「リコール」が最も一般的な方法
では、「その職にふさわしくない」と思った地方議員に“退場”してもらうとしたら、いったいどのような制度が用意されているのでしょうか。 最も一般的な方法は、有権者によるリコール(解職請求)です。地方自治体は文字通り、住民の「自治」を大原則として成り立っており、リコールも地方自治法に規定があります。リコールできる対象は「議会(解散)」「首長」「議員」「主要公務員(副市長など)」 で、有権者の3分の1以上の署名を集めると、請求は成立です。その後は住民投票を行い、本当に解職して良いかどうかを判断。そこで過半数が解職に同意すれば、首長や議員は失職します。 リコールは各地で時々行われており、最近では2011年に行われた名古屋市議会の解散請求が有名です。これは河村たかし市長による「議員報酬半減提案」などに反発した市議会に対し、市長支持派の住民が起こしたリコール。この結果、議会は解散することになり、出直し選挙が行われました。
議会で「除名」処分が可決されれば失職
リコール以外では、議会が自らの手で「決着」させる方法もあります。実は地方自治法は134条~137条で議員に対する「懲罰」を定めています。懲罰は重い順に「除名」「出席停止」「陳謝」「戒告」の4種類。ここで問題になるのは「除名」処分です。議員の3分の2以上が出席した本会議において、4分の3以上が賛成すると、除名は成立し、その議員は失職します。 全国の自治体議会では過去、多くの除名がありました。「議長は1年交代という慣例を破って議長に居座った」として議長を除名(京都府八幡市議会、1992年)、国旗掲揚に反対して議長席に座り込んだ女性議員2人を除名(横浜市議会、2002年)、公務欠席が多いなどとして議長を除名(福岡県糸田町議会、2008年)、議場に立てこもったとして市長支持派の議員2人を除名(鹿児島県阿久根市、2010年)などです。もっと最近の実例では、放射能に関する根拠ない発言をツイッターで繰り返したとして、2012年に群馬県桐生市議会の女性議員が除名になっています。 ただし、除名処分に不服がある場合は、これも地方自治法の定めによって、知事に審決を求めることができます。「除名処分を受けたけど、それはおかしい。正当かどうか、判断してほしい」という、いわば異議申し立てができるわけです。さらに、除名処分の適否を裁判で争うこともできます。 徳島県川島町では、こんなこともありました。1998年のことです。除名処分で失職した議員が提訴し、「除名は不当」として勝訴。“復職”を果たしました。ところが、その間に町議会は補欠選挙を行い、別の人が当選。復職議員が議会に出席すると、定数14を超す議員が存在するという事態になり、一時的に議会が流会するなどの騒ぎになりました。