<地方議会>「議員を辞めてほしい」リコール以外の方法は?
法的強制力のない「辞職勧告決議」
このほか、しばしば用いられる手法に「辞職勧告決議」があります。議会の議決ですから相当の重みはありますが、あくまで「勧告」であって法的な強制力はありません。このため、辞職勧告を受けても辞職せず、議員を続けるケースは少なくありません。兵庫県議会の野々村議員のケースでは、主要会派が代表者会議の結論として辞職を勧告する動きがありました。これは正式に議会を開いての辞職勧告決議ではありませんから、それより一歩手前の動きと言えます。 全国市議会議長会議のまとめによると、2004年からの8年間に全国108の市議会で、議員に対する懲罰(除名から戒告までの4種類すべて)の事例がありました。議長や議員、市長に対する辞職勧告決議の事例は同期間、258市で行われたと報告されています。 一方、国会議員については憲法や法律にリコールの規定がありませんから、任期途中に有権者の手で辞職させる仕組みはありません。ただし、憲法58条2項には「…院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。」との規定があり、地方議会の場合と同様、議会の議決を経て「除名」することは可能です。現憲法の下では、1950年代に2人が除名されたことがありますが、それ以降は例がないようです。