74歳、筋金入りの節約家の「外出事情」。もっぱら近所旅、スーパーに寄っても買わない
画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。自らの暮らしを「ケチカロジー」と名づけ、1日1000円をルールにしている節約家の小笠原さんの1日とは? 小笠原さんの新刊『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社刊)より、抜粋で紹介します。 【写真】小笠原さんの台所
節約家の外出は「遠出よりも、近所の散策」
ケチ(※自称)の基本はなるべく出かけずに、「おこもり」をすること。ただし、運動不足にもなりますから、運動がてらの外出も必要です。といっても、交通機関を使わない、もっぱら近所旅です。遠出すれば膨大な交通費がかかってしまいますから…。それに、気がつかないでいた地元の細部の発見も喜びの一つです。 昼食後は、眠気覚ましと散歩を兼ねた気晴らしで、3~4時間歩くこともあります。高齢者が多いと言われる私の住むエリアは、ありがたいことにあちこちに休憩所が設置されています。遊歩道には自然石があったり、各地に陶の椅子が並べられたりしています。 そんなところで私は手持ちのお菓子や水道水を入れたボトルで水分補給をしています。休んで元気になったら、また腕を振りながら元気にウォーキングを再開。旅人になったつもりで、いろいろと目を凝らしながら散策してみると、新たな発見をするものです。
スーパーに寄ってもなるべく「買わない」がモットー
それから外出ついでに、ちょっとスーパーに立ち寄ります。「買わないぞ~」をモットーに、ひとつだけは買おうと各店舗を物色するのも一興です。 帰宅後は、かなり早い時間帯に、簡単夕飯です。「変わった習慣かな?」と思っていましたが、節約上手のドイツ人の一般的な夕食の例を知って、安心しました。夕食をシンプルにすると、光熱費の削減と共に後片づけが超ラクチンですよ。 お金を使わなくとも、こんな楽しみを知るだけでも、「生きがい」を感じます。
お金は困らないくらいにあれば十分
私は長年、節約暮らしを続けており、1日1000円で生活をしています。そのルールを外すことはめったにありません。このような暮らしをしていると、お金への執着心が強いと思われることでしょう? ですが、もしも「お金は好き?」と問われたら、「いいえ」と答えます。「じゃあ、いらない?」と問われれば、「いいえ、必要不可欠で、なければ生きていけないものだからこそ、好きじゃないのです」と答えます。 私は低所得者ですが、お金には「困り」たくないのです。普通はお金に困ると言うと、もっとお金が必要ということになりますが、私の場合は、とにかくお金のことで悩みたくないのです。できる限りの対策を講じて、お金から解き放たれた精神生活がしたいのです。お金のことばかり考えて、お金中心の人生を送るのはモッタイナイと思っています。 もちろんお金はないよりは、適度にあるのがいい。住まいは雨露をしのぐ程度でいいし、日々食べていければいいというのが理想です。もう少し理想を加えれば、老いたとき困窮しない程度が最高です。お金が入ると、ほとんどが「もの」に還元されてしまいます。食べ物なら脂肪が体につき、ものなら家の中に蓄積します。だから困らない程度がいいのです。 そんなわけで、私は必要最小限の暮らしを日々心がけて、お金に支配されないようにしています。
小笠原洋子