実は2割以上の人が見ていた!「予知夢」を見る仕組みを専門家が解説
人間は一生のうちの約26年を寝て過ごし、一般的に毎晩3~7つの夢を見る。つまり、私たちは人生の大半を夢の国で過ごしているということだ。中には、愛する人を失う悪夢を繰り返し見る人や、子供の頃に住んでいた家が出てくる懐かしい夢を頻繁に見る人もいるだろう。でも、何かに関する鮮明な夢を見て、それが現実になったことはない? ある場合、あなたは“予知夢”として知られる心理現象を体験した17~38%の人々のうちの1人かも。 【写真】夢が意味するものは?「よくみる悪夢10」 トレント大学(カナダ)心理学名誉教授のカーライル・スミス博士によると、予知夢とは「のちの覚醒時に起こる出来事を描写しているような夢」のこと。普通の夢と比べて予知夢は、より具体的で架空の要素が少ない。また、このタイプの夢は他の夢より少し短く、主人公は自分だったり他の人だったりするそう。 夢分析を専門とする臨床カウンセラーで著書に『A Clinician’s Guide to Dream Therapy』を持つレスリー・エリス博士によると、これまでに報告されている予知夢で最も多いのは、本人の健康に関するもの。「妊娠した夢を見たあとに実際に妊娠が発覚したり、がんや他の病気になった夢が現実になったりした人もいます」 それにしても、私たちはなぜ予知夢を見るのだろう? 心理学的な観点から予知夢は何を意味していて、私たちは予知夢から何を学ぶことができるのだろう? 専門家が教えてくれた。
予知夢を見ているときの脳内で起きていること
ナイマン博士によると、神経学的に言えば、普通の夢と予知夢にそれほど大きな違いはない。「むしろ、その夢が予知夢かどうかは、あとになってみないと分かりません」 ナイマン博士いわく夢を見ているときは、実行機能(複数のタスクを整理・計画し、同時に行うために必要な一連の認知スキル)と大脳辺縁系機能(感情と記憶の調節と処理を担う脳構造の複雑なネットワーク)が切り離されて、デフォルトモードネットワーク(脳内で相互に接続し、自我を媒介する領域群)も弱まる。 私たちの脳は日々の経験・記憶・パターンを絶えず分析しており、その結果が未来を予測するような夢の形で現れる。「科学的には、夢を見ると目覚めが良くなると言われています」とナイマン博士。「寝て夢を見ることには多くのメリットがあるという経験的エビデンスも存在します。その1つは意識の開放と拡大です」 人はノンレム睡眠中にもレム睡眠中にも夢を見る。でも、エリス博士によると、より面白くて奥深い物語のような夢は、レム睡眠(急速眼球運動)中に見ることが多い。また、レム睡眠中は夢を想起する可能性も高い。スミス博士の話では、これらの点および予知夢の独特な性質を考慮すると、予知夢はレム睡眠中にしか起こらない可能性が高い。「実際のところ、私たちは見た夢のほとんどを忘れてしまいます」とナイマン博士。「もっと覚えていることができれば、予知夢の報告も増えるかもしれません」 ※この記事はアメリカ版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。