ゼンリンが取り組む地図の未来とは
スマートフォン(スマホ)の普及などに、劇的に接触頻度の高まっている地図。ちょっとした外出先で場所を確認するために、地図アプリが立ち上げられ、利用者がスムーズに目的地へ向かうことをサポートしてくれる。その優れた日本の地図を支えているのが、福岡県北九州市に本社を置く株式会社ゼンリンだ。ゼンリンの持つ地図技術は、スマホなどに搭載されている地図アプリやカーナビなどの技術革新だけではなく、今後、開発が進められていく、車の自動運転などにも大きく関わろうとしている。
■カーナビの最新技術には“足”で調べた情報が搭載 日進月歩の進化を遂げているカーナビ。そのベースとなる地図を生成するために、約1000人の調査スタッフが“徒歩”で調査を行っている。少し前のカーナビは、『目的地周辺』で案内が終了していたが、近年の製品では、目的地の入口まで案内してくれる『ドアtoドア』を提供している。『目的地周辺』の場合、川を隔てた場所に入口があっても、そこを『目的地』として認識してしまうことがあったが、『ドアtoドア』の場合、行きたい建物の入口へ案内してくれる。その情報を得るため、約1000人のスタッフは、建物の一軒一軒の入口情報を収集。カーナビの情報に反映させている。スマホの『徒歩ナビゲーション』も、この“徒歩調査”が生かされている。「実際に歩いて情報を収集するので、公園を抜けた方が早く目的地に着くなどの情報を得ることができる」(開発担当者)と、その精度に自信をみせる。 ■自治体も把握していない情報も収集 もちろん、情報収集は徒歩だけではなく、車でも測定する。全方位カメラを搭載した軽自動車が、『ドアtoドア』情報の収集だけでなく、主要都市にある30万以上存在する道路標識の情報も収集していく。「標識の中には自治体も管理できていないものもあって、『調べて教えてほしい』と言われることもありますね」(開発関係者)。それほど、詳細な情報を収集している。