国民民主党・経済政策の財源問題②:教育国債とは何か?
教育国債の説明には無理があるのではないか
国民民主党は、財政法の改正によって、教育関連の支出を賄う国債に、建設国債と同様のステータスを与えようとしているのだろう。しかしその考え方にはかなり無理があるのではないか。 建設国債は、将来世代も享受する政府サービスは将来世代も負担するのが適切、という考えに基づき発行されるものだ。しかし、教育サービスなどはもっぱら現役世代が享受するものであり、現役世代がその対価を税金で支払うことが適切だ。 国民民主党は「教育や人づくりに対する支出は、将来の成長や税収増につながる投資的な経費」と説明しているが、これは行き過ぎた拡大解釈だろう。例えば国防費は、国民の安全を守ることで、将来の成長や税収を保障するもの、と主張するようなものではないか。 国民民主党は、イメージが悪い赤字国債という言葉を使いたくないのだろうが、教育国債の本質は赤字国債であることに変わりはない。103万円の壁対策として大規模な所得減税を実施すれば、その財源を見つけることは難しく、最終的に国債発行によって賄うことになると考えられる。その場合、その国債を赤字国債と呼ばずに別の名称で呼ぶことが仮にあるとしても、その実態は赤字国債であることに変わらない点は気を付けておくべきだ。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英