38年ぶり安値の円相場、もはや日本株の支援者にならず-相関関係示唆
アンバーザデ氏は、日銀がカタツムリのようなペースで動き、資産の減少に目をつぶり続ける限り円安は続くと予想。米連邦準備制度理事会(FRB)が今後利下げに動けば円を助ける可能性はあるが、一連の流れはアジア地域の通貨に伝染しかねないと懸念している。
センチメントの悪化
海外勢の一部では日本株への投資意欲の低下がうかがえ、英シュローダーは日本株に対する見方を「中立」に引き下げた。通貨安は消費者や中小企業のセンチメント悪化の兆しにつながっていると最新の投資家向けメモで述べている。
日本株ブーム失速、外国人投資家が慎重姿勢強める
一方、ブラックロックやモルガン・スタンレーなど複数のストラテジストは、賃金の上昇や企業改革の進展を挙げながら、日本の長期的な見通しについて明るい見方を崩していない。今年の日経平均は、円ベースで見ると17%以上上昇し、アジアの主要市場をアウトパフォームしている。JPモルガン証券の西原里江チーフ日本株ストラテジストは、年末までに日経平均は4万2000円を目指すと予想する。
ただ、SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは、通貨安が進む現状を問題視しており、ここから先の円安がデフレ脱却の好循環の芽を摘むことには留意が必要と27日のリポートで指摘。「輸入インフレに伴い生活コストが日々上昇している点に鑑みれば、そろそろ円安を看過できなくなる」との認識を示している。
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Winnie Hsu, Masaki Kondo