【後編】カリスマ社長の父とは常に「バチバチの関係」だった/「ジャパネットたかた」の2代目息子、過去最高売上をたぐり寄せた38対2の多数決
◆父とは、人間的にリスペクトし合う関係だからうまくいった
こうした対立を繰り返していた2人だったが、旭人氏は事業承継が成功した理由として「お互いに相手へのリスペクトがあったこと」を挙げる。 明氏から激しく叱咤された日も、自宅に戻ると「気にするなよ」と電話がかかってきた。 また旭人氏自身、「陰で父の悪口を言わない」というルールを決めていた。 明氏は、2015年に社長を退いた後、会長職には就かなかった。その理由は「俺が残ったら、社員がみんな俺の方を見ちゃうから」だったという。 仕事に関しては容赦なく意見を交わすものの、相手の人間性は決して否定しない――。 この親子の信頼関係が、事業承継を成功に導き、2021年の過去最高売上げにつながっていった
◆ジャパネットホールディングス
1986年、髙田明氏が実父経営の「たかたカメラ」から独立する形で「たかた」を設立。 90年にラジオショッピング、94年にテレビショッピングを開始し、明氏自らが出演する通信販売番組で全国区になった。 99年に社名を「ジャパネットたかた」に変更。 2007年にはジャパネットホールディングスを設立し、ジャパネットたかたは子会社となった。 09年からはV・ファーレン長崎(現J2)のスポンサーとなり、2024年10月14日に開業する「長崎スタジアムシティ」で民間主導の地域創生事業を展開している。