ビットコイン開発者はライトニングへの信頼を失いつつあるのか【Future of Bitcoin】
複雑な状況
Protosはさらに、ライトニング上のビットコインは徐々に減少しており、2023年12月には5500BTCのレベルを下回り、現在は約4750BTCまで落ち込んでいると指摘した。 これは、人々がライトニングを見捨てていることを示唆しているかもしれないが、ドル建ての価値は、約1年前の1億5800万ドル(約239億円、1ドル151円換算)に対して、現在は約2倍の約3億2000万ドルに増加していることは注目に値する。 データを見ると、混乱してしまう状況が見えてくる。ライトニングのノード数もノード間のコネクション数も2022年がピークだったが、総トランザクション数は増加していると報告されている。 「ドライブチェーン」によるビットコインの代替的スケーリング方法を提唱してきたシュトルク氏が収集した主観的な証言を読むと、より不利な状況が浮かび上がってくる。 過去1年以内に、高名なビットコイン・コア(Bitcoin Core)開発者のBlueMatt氏はライトニングを「ジョーク」と呼び、ライトンイングのセキュリティ研究者であるアントニー・リアード(Antonie Riard)氏は、(非常に批判的なブログを発表して)プロジェクトを去った。そして、人気のソーシャルネットワークNostrの開発者であるFiatJaf氏は、ライトニングに対する自らの信頼が低下していると語った。 CoinDeskはここで答えを持っているふりはしないが、少なくとも、ライトニングの成長は少し停滞しているように思える。しかし、ライトニングに対する世間の認識が変わったとするのは言い過ぎだろう。ライトニングは過大評価されており、その熱狂的なファンは非現実的な期待を抱いていると長年指摘されてきていた。
批判を糧に
実際、ライトニングの共同開発者であるジョセフ・プーン氏とタッジ・ドライジャ氏は当初から、ライトニングはビットコインのスケーラビリティニーズをすべて解決するものではないと述べていた。ライトニングにまつわるミームが常に「18カ月先」であることには理由がある。 ライトニングではあまりにも早く、あまりに多くが約束され過ぎた(特に前回の強気市場の間)という批判に反論することは難しいが、議論の文脈を整理することは重要だ。 数年にわたるテストの後、2019年にネットワークが正式にローンチされたとき、ビットコイナーたちはしばしば、これは「実験的な」ソリューションだと警告した。 ライトニングネットワークの最初の大規模なテスト(クレイグ・ライト氏がビットコイン支援者Hodlonautを訴えた後、資金調達のために世界中を回った「ライトニングトーチ」)が行われた頃、ライトニングを使うことは「#reckless(無謀)」であり、失ってもいい金額しか送らないようにと警告するハッシュタグがトレンドになった。 ライトニングネットワークに対するもっともな不満は昔も今も存在し、改善のためには不満を口にすることは大切だろう。チャネルの開設や閉鎖が難しく、コストがかかる。セキュリティとスケーラビリティに多くの問題がある。ライトニングを日常的に使えるようにするためのカストディソリューションが、ビットコインが解決しようとしているサードパーティ問題を再び引き起こしている。 救いがあるとすれば、これだ──ビットコインに関しては、しばしば最大の支持者は最高の批判者だ。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Rizka/Wikimedia Commons|原文:Are Bitcoin Developers Losing Faith in Lightning?
CoinDesk Japan 編集部