ホンダ・フィット ハイブリッドが3代目で初登場、シンプルで高効率なシステムが話題に【10年ひと昔の新車】
なにごともなかったかのようにハイブリッド化に成功
2010年10月、3代目ホンダ・フィットに大幅な変更が加えられ、同時に1.3Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせた「フィット・ハイブリッド」が登場し大きな話題を呼んだ。日産マーチ、スズキ・スイフトとコンパクトカーのフルモデルチェンジが続く中でも、そのインパクトは大きかった。Motor Magazine誌は登場もなく試乗テストを行っているので、今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年12月号より) 【写真はこちら】リアビューでは、青みがかったクリアレンズのテールランプがハイブリッドらしさを感じさせる。(全6枚)
かねてより噂のフィット・ハイブリッドがついに発表された。正式発表を前にすでに1万台以上の予約注文が入っていたというから、その注目度の高さがわかろうというものだ。 そのポイントはいくつかある。まずコンパクトカーの定番であるフィットをベースとしていること、ハイブリッドで160万円を切るという価格、30km/Lという燃費性能などだ。 それにしても、フィット・ハイブリッドはよくできている。1.3Lエンジンと薄型電気モーターを小さなボンネット内にすっぽり収め、駆動用ニッケル水素バッテリーも薄型にしてラゲッジルームのフロア下にコンパクトに収納。まるでなにごともなかったかのようにハイブリッド化に成功している。 とはいっても簡単ではなかったはずで、バッテリーの搭載などによる重量増(約100kgほどガソリン車より重い)、重量配分変化については、ボディ、足まわり、ブッシュなどを基本から見直したという。ガソリン車よりも多くの部分でコストがかかっているわけだ。 10・15モード燃費30km/Lを実現するためにも苦労があったようだ。インサイトよりボディが小さいので車重は60kgほど軽いが、空気抵抗が大きく、さらに全長が短いため空力的に不利となるのだ。そのため、ライトまわりのデザイン変更、ドアミラーの形状変更、リアのディフューザーまわりの変更、エンジンのフリクション低減、低転がり抵抗タイヤ採用、CVTフルードウオーマーの追加など、涙ぐましい努力が重ねられている。 ただ心配な点もいくつかある。インサイトのようなハイブリッド専用車ではないので、ハイブリッドらしい演出に乏しく、ユーザーに強くアピールできるのかということ。30km/Lという燃費はもはや突出したものではなく(ガソリン車でも20km/L台後半をマークするモデルもある)、それがどう評価されるか、などだ。