夏の間の演習量が中学受験合格のカギ! 夏を無駄にしないための心得とは?
間を空けて覚え直した内容はより定着する
くれぐれも、授業を受ける「だけ」の夏にならないようにご注意ください。なお、夏期講習はどこの塾でも復習中心のカリキュラムになります。苦手な科目・苦手な単元ほど、すでに習ったはずなのにすっかり忘れてしまっていて愕然とするものです。 親御さんは、あらかじめ「そんなものだ」と思っておいてください。本人も忘れたくて忘れているわけではないので、そこで責めることがないようにしましょう。そもそもこれまでに習ったことをみんなが覚えていないからこそ、夏は復習のカリキュラムになっているのです。 人間の脳の記憶の仕組みは、短期間に覚えたことはすぐに忘れるようにできています。間を空けて忘れた頃に覚え直したことは、長期間覚えていられるようになります。「忘れているからこそ勉強するとパワーアップする」と、ポジティブに捉えてくださいね。 私たちテスティーでは、以前これを「サイヤ人理論」として生徒たちに教えていました。死にかけた状態から復活すると、めっちゃパワーアップするというドラゴンボールのアレです。ただ最近ではドラゴンボール自体を知らない子が増えているので、あまりこの名称は使っていません。でも、忘れかけた頃の復習が効果的だという事実は変わりません。
覚えている内容が多い場合は、特に演習時間の確保を
逆に、夏期講習で復習する内容を覚えていることが多かったら、それ自体は喜ばしいことなのですが、夏期講習の授業はあまり意味のないものになってしまうかもしれません。 これは集団授業を受けている限り多かれ少なかれあることですが、自分はわかっているのに先生の説明を聞かなきゃいけない無駄な時間が生まれます。そして、成績が良い子ほどその不利益を受けることになります。大体の塾は4科目の成績でクラスが決まりますから、得意科目と苦手科目で差がある子も、得意科目の授業ではそういう状態になっているかもしれないですね。 わかりきったことをボーっと聞いているくらいなら、本当はその時間を使って、宿題にされるであろう問題を解いておくくらいの時間の有効活用(演習)をしたいものです。 私たち個別指導では、その子に合わせて必要なことだけを教えるのでそうした無駄は生まれませんが、集団指導だとどうしても避けられないことなのです。そう考えると、「個別指導は授業料が高い」と思われがちですが、「子どもが教えてもらう内容に対しての授業料」としてはむしろ安いとも言えます。なにしろ、集団指導では「わかっていることを教えてもらう」という本来必要のない時間で、価値が薄められているのですから。 短時間で自分に必要なことだけをギュッと濃縮して習うことで、演習する時間を十分に確保できることも個別指導のメリットだと私は思っています。クラスメイトと切磋琢磨する環境は素晴らしいもので、集団指導ならではのメリットはあるのですが、デメリットもあることを把握したうえで上手に解決していきましょう。最後は少しだけ個別指導の宣伝でした。 この夏、演習時間をばっちり取って、お子さんの成長につなげてくださいね。
繁田和貴